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不安は魂を食いつくす/不安と魂のtkykのレビュー・感想・評価

3.9
異色な存在である2人のラブストーリーであるがその味わいは苦いものだった。作品冒頭から注がれる視線や言動はエミの疎外感や異色さを表していた。それに加えてアリに対しても非常に強烈な差別感情が注がれるため、2人のこの社会における疎外度合いが強く感じられる上にだからこそ2人だけの世界の形成が伝わってきた。

社会から阻害された2人が2人だけの世界では常に幸せなのかというとそうもは限らないのが本作の苦さだった。
アリの些細でありながらも説得力のある感情の変化が二人の関係性を決定的に変えてしまう訳だが、その後アリが向かった先が彼の複雑な心境を表現しており、興味深かった。

エミとアリの行く末も非常に苦みを残すものであり、それが作品の余韻になっていた。
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