CHICORITA主任

雲のむこう、約束の場所のCHICORITA主任のレビュー・感想・評価

雲のむこう、約束の場所(2004年製作の映画)
4.0
『君の名は。』『すずめの戸締まり』で知られる新海誠監督の2004年公開作品をFilmarksが主催しリバイバル。
前回の『秒速5センチメートル』とともに未見だったのでこの機会に鑑賞してきました。

無濾過純度100%のいわゆる「セカイ系」作品、新海誠と聞いてまず思い浮かべるイメージにピタリとハマる一作という印象でした。
現実の災害にまつわる描写を取り入れてドラマの強度を増し、また優秀な作画スタッフを迎えてダイナミズムを増した『君の名は。』以降の作品ももちろん良いのですが、ちょっと荒削りながら、より自主制作的で監督のイメージ原液を感じられる初期作も、これはこれで味わい深いものです。

2000年代ギャルゲー(エロゲー)を主戦場としたセカイ系作品ブームの真っ只中を経験した世代の人間として、本作にはどこか懐かしさを覚えます。その発展系としての感触があったから、たぶん僕は最近の新海誠作品の中では『天気の子』がお気に入りなんでしょう。
「世界を救うか、彼女を救うか」という問いの答えは、『雲のむこう、約束の場所』の時点で出ていたというわけですね。

今や日本を代表する「世界的」作家となった新海誠の原点にして本質が見える初期代表作といって良い本作。
劇場で見られる貴重な機会なので、ぜひ映画館までお運びください。
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