サマータイムブルース

山の焚火のサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

山の焚火(1985年製作の映画)
3.5
コレ、ずっと見たかったのに、配信もレンタルもなく、ほぼ諦めてたやつ
U-NEXTでいつの間にか配信されてるのを知り、満を持して鑑賞しました

人里離れたアルプスの山腹に住む、家族4人の物語
登場人物はほぼこの4人のみ

弟(トーマス・ノックさん)→生まれつき耳が聞こえない、家族から「坊や」と呼ばれて甘やかされて育つ
ぼ、坊や!?
学校には通っていない
姉のベッリから勉強を教わっている
癇癪持ちで、時々奇行に走り、今や思春期で、性に目覚める

ベッリ(ヨハンナ・リーアさん)→この家の長女
教師を目指しており、かつては街に降りて勉学に励んでいた
今は家族の手伝いで山に戻っている
美人さん、脇毛ボーボー

父(ロルフ・イリッグさん)→一家の長であり、家族を支えている
頑固者で、怒りっぽい

母(ドロテア・モリッツさん)→喘息持ちで体が弱い
坊やが3歳の時にこの子が聾唖であることを初めて知り、そのことでずっと悩んでいる

前半から中盤にかけてはこの家族の日常がひたすら描かれます
会話は極端に少なめ
そして、かなりのスローペースだけど、アルプスの牧歌的な風景に癒されて、退屈はしない
家族は自給自足の生活をし、それぞれ助け合って生きている
隣家は山の下の方に暮らす祖母一家
隣家といっても双眼鏡で覗いてコミュニケーションを取らなければならないほど遠い
因みにロープウェイで下っていく
途中までは、アルプス版「北の国から」といった趣きでした

そして、あることをきっかけに、弟は家を飛び出し、山の上の小屋に逃げ込み、一人で生活を始める
そこに心配した姉が様子を見にくるのですが・・・

坊やの趣味は岩を砕いて、それを積み上げて、賽の河原か、万里の長城を作り上げること
この子ちょっと、軽い知恵遅れか、精神的にトラブルあるのかもしれない

ジャケ写の弟の手の位置が微妙
夜、山の中で焚火を焚いて、布団敷いて寝るのにはびっくり
そこに布団敷くんかい!!

後半にかけて、ある事件がきっかけで、家族の日常が崩れていきます
まあ、こうなるわな

終盤、家の中で姉弟が過ごしていると、地鳴りがしてくる
地震、というより、雪崩が起きたのかな、このシーンすごく印象的でした

終始、文学的な香りのする映画でした
果たして、残された3人は、幸せに暮らしていけるのでしょうか

往年の名作を鑑賞できて、とても満足しました