似太郎

上海ジェスチャーの似太郎のレビュー・感想・評価

上海ジェスチャー(1941年製作の映画)
3.8
サイレント期から活躍するジョセフ・フォン・スタンバーグの映画を初めて観た。妻のマレーネ・ディートリッヒとのコンビではないから、この監督にとってはかなり異色の出来と言っていいだろう。

戦前の上海にある豪華カジノを舞台にしたドロドロ愛憎劇である。主演のジーン・ティアニー以上に、女経営者を演じたオナ・マンスンの強烈な見た目が非常にインパクトがある。

ストーリーは今観るとやや古臭く保守的。映像はこの監督らしい耽美的なエレガンスさを纏っており極めてヨーロッパ映画的な印象が見受けられる。名脇役のヴィクター・マチュアの中国風ファッションの似合わなさに愕然となった作でもある。(失笑)

ある意味、ジャン・ルノワールの『ゲームの規則』を彷彿とさせる愛と因縁に満ちた群衆劇であり、破滅型フィルムノワールの佳作といった感じ。これが元々戯曲(1920年作)だというからビックリ。
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