ギャヴィン・オコナー監督の得意なスポーツドラマです。1980年の冬季オリンピックで当時最強のソ連アイスホッケーチームを破ったアメリカの『氷上の奇跡』を題材にしています。
時代背景としてはニクソンからカーターに大統領が変わり、アメリカが自信を失っていた時代。国として何もかもうまく行かない悲壮感が漂っていた時代。
色んな要素を非常にうまくコンパクトにまとめる手腕はさすがだなと思いました。主人公のハーブ・ブルックス監督(カート・ラッセル)が話の中心になりますが、ハーブのオリンピックにこだわる過去とキャラクター造形、ハーブと家族の絆を描きつつ、チームとしてのアメリカ代表の成長も描く。そこはハーブのチームとしてのこだわりとも連動しています。
更に凄いなと思ったのが一部のプレイヤーはちゃんと家族との関係まで描いていること。そしてサポートスタッフのキャラクター造形もできていること。短い時間にこれだけ詰め込んで浅い印象は受けないし、破綻もしていない。
ギャヴィン・オコナー監督は後の『ウォリアー』(2011年)や『ザ・コンサルタント』(2016年)では一人の複雑なキャラクターを掘り下げるキャラクターを作り上げる仕事がとても上手いと感じました。そのキャラクター造形の巧みさは2004年の本作でもすでに発揮していたんですね。