マヒロ

田舎司祭の日記のマヒロのレビュー・感想・評価

田舎司祭の日記(1950年製作の映画)
3.0
(2024.14)
田舎にやってきた新人司祭の青年は、真面目に職務をこなしていくものの、余所者である彼を村の人々は認めてくれず孤立していき、持病の胃痛の悪化も相まって青年はどんどん追い詰められていく……というお話。

『ラルジャン』にあまりにも心を震わされたので、現状ブレッソン作品の中でサブスクで観られる今作も早速観てみた。
明確な形のない悪意が一人の青年を追い詰めていくという大枠で見ると『ラルジャン』と同じような話と言えて、司祭に冷たく接する村人達に何がハッキリとした理由があるわけでもなくただ何となく気に食わないからくらいのノリでしかなく、だからこそ司祭にはどう改善というすることも出来ないというのが恐ろしい。面と向かっては不満を言えない司祭はタイトルにもなっている日記に思いの丈を書き綴り、観客としてはその内容をモノローグとして延々と聞かされ続けることになる。個人的にはブレッソン監督には語らないことによるシャープさを期待しているところがあり、ちょっと今作は喋りすぎかなと思ってしまった(宗教的なことばかり言ってるので内容が理解出来てるかと言われるとまた別だが)。

それでもなお冷ややかな目線で主人公を捉えるカメラが時折見せる映像の格好良さや、最後まで誰にも寄り添うことないドライな物語運びなどのセンスは流石で、前のめりになってしまうこともしばしば。好きなところとそうでないところがはっきりしている映画だった。
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