フランス・マルセイユを舞台にした戯曲を映画化した作品です。『マリウス』『ファニー』『セザール』からなる「マルセイユ３部作」の第１作目にあたります。フィルマークスには今のところ『マリウス』しか登録がないようですね。港町に住む男女の哀愁を描いた映画でした。はっきりとは見せていないけれど関係が成立していたということなのかな？マリウスっていう名前自体もキリスト教に縛られていそうなのでこの時代に責任を取らないのは重罪にあたるのかと。ファニーがうざい女からいい女に変わったのが健気で最後のセザールとの会話は切なかった。

　傑作とは言い難い映画だが、話がすごくよくできていて感心した。夢と愛、義務感と金、あらゆる価値基準を戦わせることによって生じる複雑で深みのある心理描写が素晴らしい。まあとにかくラストがすごい。喜ぶ義父（セザール）がファニーに希望を語る一方、ファニーは必死で作り笑いを浮かべる。マリウスの乗ったマレーシア号出港の知らせを受けてついに耐えきれず失神するファニー。何も知らずマリウスを呼ぶセザール。

フィルマークスには「マリウス」しかないんだけど「ファニー」「セザール」に続く三部作。でも男には結婚より大事なやりたいことがあるんだってゆーマリウスがすべて。あとはダラダラ後日談みたいなことを三部作なんかにしやがって。話は時系列になってるから合計6時間の作品てことになんのかな。視点を変えるとか別の内容にするとかしろっつーの。