イチロヲ

侠女/俠女 第一部:チンルー砦の戦いのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
砦跡地の村にて人相描きを営んでいる青年が、父親を亡くしている謎の女剣士との接触を契機にして、機密組織・東廠(とうしょう)の暗躍に気づかされる。中国の古典をベースにしている、香港・台湾合作の大作武侠映画、第一部。

前作「残酷ドラゴン 血斗竜門の宿」同様に、宦官が陣頭指揮を執っている悪徳組織との攻防戦が繰り広げられる。また、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」を含む、怪奇古典文学の流れを汲んでいるため、ヒロインの女剣士に幽体感がつきまとっている。

残酷ドラゴンの圧倒的エンタメ路線と比較すると、エログロが減退して、だいぶお行儀よくなっている印象。足元を隠したカットでのトランポリンに笑いを誘われてしまうが、ヒロインの凛々しい表情と軽やかな身のこなしに説得力が備わっている。

しかしながら、武侠パートと怪奇パートが妙なテンポで行ったり来たりするため、作品のトーンがボヤケているような印象がするのも事実。虚実不明瞭型のファンタジー復讐劇に振り切って欲しかった、という欲求が残る。
イチロヲ

イチロヲ