健一

駅 STATIONの健一のレビュー・感想・評価

駅 STATION(1981年製作の映画)
4.4
WOWOWで放送していたので録画して深夜に鑑賞。
『生誕90年 高倉健特集』より。

第5回 日本アカデミー賞
作品賞、脚本賞 受賞。

沁みる〜〜〜〜っ!
沁みる映画やねぇ、コレ。
街の小さな居酒屋で独りでお酒飲んでるような気分にさせられる作品。

監督 降旗康男、撮影 木村大作、主演 高倉健と
この三人だけでも凄いのに
脚本 倉本聰、音楽 宇崎竜童と
とんでもないメンツが大集合して製作した日本を代表する名作。
日本アカデミー賞 作品賞受賞も納得の沁みる力作です!

1968年 直子。
警察官の英次はオリンピックの射撃選手としての練習と日々の過酷な職務が続いたことで妻と離婚。
雪の降り続く中 旅立つ妻と幼い息子を駅で見送る英次。
妻は列車内から微笑みながら悲しみを抑え 夫に敬礼する。

1976年 すず子。
オリンピック強化コーチとなった英次は連続通り魔事件を担当。
犯人として浮上した男を捕まえるため 妹すず子の尾行を行う。
妹の接触を試みるが 容疑者の兄を溺愛する すず子は 本性を表さない。

1979年 桐子。
故郷へ帰省する英次だったが連絡船が大雪の影響で欠航となり足止めに。
仕方なく 年末の中唯一店を開けていた居酒屋『桐子』に立ち寄る。
客はいなく店主の桐子は独り寂しくTVを見てる。
年末恒例の歌番組。八代亜紀の『舟唄』が より一層 男と女の孤独感に突き刺さる・・・

主演はもちろん高倉健さんです。
いつもながら今回も 口数少なく不器用な男を哀愁たっぷりに好演してくれている。
それと同時に本作は それぞれの時代を懸命に生きた女たちの物語。
愛する者の為に身を引く者、偽る者、寄り添う者。
女たちの不可解な人生を真正面から 三部構成という形で描いている。

『つじつま が合わないじゃないか!』

『そう....そうね、男と女だから。』

取調室で刑事に尋問されている女性が刑事に問われ こう答える。
このやり取りが この作品のすべて。
理屈じゃない。他人には理解できない。それが 昭和の冬を生きる 女。なのだ。

雪が降る 雪が積もる
駅から見送る 駅から旅立つ。
昭和の闇 昭和の哀愁。
子供の頃 両親が聴いていた傍(かたわら)で何気なく耳に入ってきた 八代亜紀の『舟唄』がこんなに 沁みたのは人生で初めてだった。
今から40年前の作品だが 若い頃に本作観ても半分も理解できなかったろうと思う。
まさに 熟成させる作品。

私は日本酒🍶が苦手で一滴も飲めない。
この作品観て その事を少し後悔した。
健一

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