囚人13号

ビガー・ザン・ライフ 黒の報酬の囚人13号のレビュー・感想・評価

4.5
ヤク中映画。大病を患った父親が薬の副作用で狂っていくも、服用を止めると死んでしまうため八方塞がり状態で家庭が壊れていく。

幸福な描写の次は必ず不幸が倍で返ってくるレイ映画の真髄。引き伸ばされた影が別人格の肥大を表象し、ヒッチコック的な「疑念」による被害者≠被害妄想の攻撃性をひたすらネチネチと見せ続ける。
終盤まで主観ショットが排されているため感情移入の隙も生まれず、しかしクライマックスの然るべき瞬間に挿入されることで驚くべき暴力性を発揮する。

家族の服や聖書といった緋色が画面を蝕み、日中の屋内とは思えない暗さが完全にノワールの画面設計で最高。映画の天敵テレビジョンがすげー使われかたしてるのも見物。
囚人13号

囚人13号