イチロヲ

呪いの血のイチロヲのレビュー・感想・評価

呪いの血(1946年製作の映画)
3.0
子供時代の殺人行為を胸中に潜ませている地方検事夫婦が、かつて行動を共にしていた悪童との再会に戦慄を覚える。歪んだ恋愛観をもつようになった夫人の顛末を描いている、サスペンス・ドラマ。

品格を重んじる貴族社会からの脱却を切望する少女マーサ、父の庇護を受けている少年ウォルター、マーサを外界へと引っ張り出そうとする窃盗犯の少年サム。偶発的な殺人行為を目の当たりにした3人組が、18年後に再会してナンタラカンタラの流れ。

原題は「マーサの不思議な愛情」という意味。安定した生活をもたらしてくれる男と外世界へと連れ出してくれる男。そして、その狭間で心を揺り動かす女。三角関係の典型パターンを踏まえながら、「オレがオレが」の利己的人間模様を描いていく。

全体的に「昔の映画だから」ではフォローできないほど、平板かつ凡庸な印象を受ける。セリフ劇が淡々と進むため、特段ドキドキさせられるわけでもない。とはいえ、上流階級ならではのカオス状態は何となく伝わってくるため、それはそれでオーケー。
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