矢吹

千年女優の矢吹のレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
4.2
例えば、君に会うために生まれてきた、のと、
君に会うために生きてきた、のは、ちと違う。
そう思うでしょう。

最後の一言。完璧の一言。
この愛の強さもあわや異常さも無敵っぷりも担保できる至上の一撃。
この映画の美しさも儚さも意味も面白さも、全てを言い現わす、究極のオチ。
今まで見てきたフィルムが、もう一度、心の中と外を渦のようにぐるぐると駆け抜ける。
あの子の息遣いと足音が聞こえる。
地球が逆回転したかと思うような、高揚感。
君の他の世界のことなんて、心底どうでも良くなるような、爽快感。
これぞ、他の追随を許さない恋愛活劇。
あのセリフのために全ては存在したと、細胞レベルで理解して、血が熱くなる。
全てって、もちろん、この世に恋が生まれてから、この映画が生まれるまでの全てですよ。

過去へでも未来へでも、宇宙へでも、
あなたのためなら、走って行く。ぐらいでいい。呪い上等。恋ですわ。
会いにいくって約束したから。
だって私は、


演技と記憶と現在のインタビューが、過去からのタイムスリップを繰り返して、この恋と運命の全部を巻き込んでいく。
パーフェクトブルーとは別のベクトルでの、
入り混じり、気持ち良い混沌。良すぎるくらい。
そして、1000年!奇しくも藤原。
2回目観たけど、まじで54回泣いた。

この純愛を、ここまでの悲喜交々、多種多様なエンターテイメントの角度を持ち合わせてつつ濃密に、かつ驚くほど単純明快な面白さに裏打ちされた一筋の閃光にできるのは、この世界観を成立させうる人間は、もう、今敏か、大林宣彦に、2票。
と思うと、
未来永劫に保管されるべきフィルムの一つでございましょう。

2001年、君の旅。
千代子さん、俺だって、会いに来ましたよ!

またどっかの劇場でやってくれないかな。
映画館で見たい。できるだけ大きいところで。
と思っててさ、そして、この前、無事観れたんだけど、
音楽、平沢進さんかい。
ロータス。純愛?純真無垢?睡蓮は眠らない。
そこまでどんな人かってさ、ちゃんとはイメージなかったけれど、すでに、何度も、ほんのりと、ガッツリきてますね。お世話になってんのかい。という。
映画館で見てよかった。
特に月のシーンから旅立ち。
やっぱり、最高じゃないの。
ど偉いスペクタクルですよ。
気持ちも随分と乗っかるし。
満月よりも1日前がすきだ。
って、14日目。
明日があるから。
彼女は確かな幻影を追いかけ続けている。
声だけで、相変わらず絶世のイケメンな山寺宏一さんがほんとにとてつもないな。

いやあ、ね、
俺にもどこまでだって、走らせてくれ。
そのために、追いかけさせてくださいよ。
ちがうな、勝手にしやがれか。
会うために勝手に走りだせばいいんですよ。
千年待ってなさい。
矢吹

矢吹