健一

バッファロー’66の健一のレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
4.5
『愛し合うムードを出せ! 俺には触るな!』


愛を知らない男 と 愛を求める少女との一夜限りの『旅』。

Filmarks 90's 企画としてこの名作がリバイバル上映!
ロードショー公開時に鑑賞済。
今回24年ぶりの再鑑賞。

1999年。下半期。
『ねぇ、ヴィンセント・ギャロの映画見た?』
当時の渋谷を歩いていると こんな会話があちらこちらから聞こえてきたほど。
世紀末の若者たちのトレンドとなり驚異的な大ヒットを記録した本作。
渋谷のミニシアター シネクイントにて'99年7月から35週間にも及ぶ超ロングラン上映!
累計観客動員数 142.438人とまさに90年代のミニシアターブームの火付け役となった伝説的な作品。

最悪な俺に、とびっきりの天使がやってきた。

真冬。刑期を終え出所するビリー。
両親に会いに行くためニューヨーク州バッファローへバスで向かう。
でもその前に。おしっこがしたい。😅
トイレが無い! FUCK!😅🚽💦
股間を握りしめてトイレを探す情けない姿をさらすビリー。
シャバに出ても いきなりついてない。
そんな怒り心頭の最中に目の前に天使が現れる。
そんな天使のような少女に向かって第一声は『クソ女!』😱
&拉致。😳
少女に妻のフリをさせて両親の住む実家へ向かうビリーと少女。
『気分が悪い、吐きたい。』🤮🥶
最悪な夜が始まりそうだ・・・

本作鑑賞後、熱いお風呂に浸かりたいと思ったのは私だけではないはず。😅
雪景色。ではないのだが終始寒々しさが深々と伝わってくる見事な作風。
そりゃ、オシッコしたくもなるよ。
やっとみつけたトイレの前で天使のような少女をいきなり拉致。
だが。少女は全く嫌がってない。むしろこの見るからに不幸そうな男をなんとかしてあげたい気持ちで一心。
この子は何者? 娼婦? 売れないダンサー? 作中では全く明かさない。
この奇妙な二人の異常な一夜。寒々しい寂れた街。閉鎖的な両親。
ヴィンセント・ギャロの初監督作は どこを切り取っても絵になる作品。
少女の母性的な行動とは裏腹に男は異常なほど この子を拒む。
ホテルに行っても、一緒にお風呂に入っても、添い寝しても。
もう愛し方を忘れてしまったのか?
いや、最初から知らないのだ。
タイトルの「バッファロー'66」とは本作の時代設定ではなく、この男ビリーの生まれた年のこと。
偏屈な両親に育てられ 廃れた街で少年時代を送ったため『人の愛し方』を学び忘れてしまったのだ。
この描き方がとにかく 上手い‼️

ヴィンセント・ギャロはこの情けない男を時にキレ、時に凹み、最後にゴメンと謝るダメ男を感情豊かに演じていて好感が持てる。
クリスティーナ・リッチも「アダムス・フォミリー」での幼さから一点、ムチムチボディの少女に成長してしまい 当時は驚いたものだ。
ビリーの両親を演じたアンジェリカ・ヒューストンとベン・ギャザラの『ぶっ飛びとーちゃん&かーちゃん』ぶりも最高!🤭
友人代表で出演したミッキー・ローク、ロザンナ・アークェットの面々からしてもギャロの友好関係の幅の広さが伺える。

ストーリーは正直大したことない。
男と女のグダグダでピリピリな一日。
過去のトラウマと妄想が膨らむだけでホント劇的なことはほぼ無い。

なのに迎えるあの開放感たっぷりな爽快なラスト。

ビリー!私にもあのハートのクッキー1個
おごってくれーーーーー!❤️

ある意味 日本における洋画興行界の歴史を変えた作品と言ってもいいのでは。

寒い季節がやってきました。
今の時期にピッタリな作品かも。
世紀末に生まれた伝説の名作。
ご堪能あれ😯。



劇場公開時 1999年 11月。
シネクイント (旧SPACE PART 3)
💺227席
客入り ほぼ満席だった。 😁

公開から4ヵ月も経ってから観に行ったのに場内はほぼ満席&次回の上映を待つお客さんが200人以上並んでいた(当時は全席自由席)。
ケータイもない時代。館内のロビーにある電話で女の子が電話してて『今、ヴィンセント・ギャロの映画みた!』と言っていた。😁
健一

健一