DelayMan

バッファロー’66のDelayManのレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
4.0
Filmarks 90s 復刻上映で鑑賞
監督、脚本、主演、音楽全てをヴィンセントギャロが務めている
刑期を終えて出所したビリーは親への電話でフィアンセを連れて帰ると強がりで嘘をついてしまう
トイレついでに寄ったダンススタジオにたまたま居合わせたレイラを誘拐し、フィアンセの振りをしろと無茶振りをする 故郷に帰る理由には自分が刑務所に入る原因になった人物への復讐も含まれていた‥という内容

ビリーは常にイライラして暴言を吐き、女性へは強く当たるクセに女性は苦手と厨二病全開
もの凄い小物オーラを発し続け、小物ムーブしまくるというコンプレックスの塊であることがよくわかる
フェミニストが観たら完全に発狂するキャラ

レイラはいきなり誘拐されたにも関わらずどんな扱いを受けてもビリーの無茶振りに応え続けるどころか、要求以上のパフォーマンスで親との会話でも話を盛りまくってしまう

ビリーの父は初めて会うフィアンセに何度も抱きつき怒鳴り散らす
ビリーの母は初めての会食中にも関わらずアメフトの応援でテレビに夢中で上の空 応援チームの優勝と息子の誕生日が被ったことにブチ切れる
登場人物は基本的に全員クレイジーでぶっ飛んでいるので話が上手いこと成立していく

物語に大きな展開はなく、緩さやズレがメインのいわゆるオフビートものだが自分はこの作品は好きだった
オープニングやエンディングのカッコ良さ、劇中曲にはジャズとプログレと自ら演奏した劇伴とヴィンセントギャロの趣味とセンスが詰まっている
終盤のシーンとエンディングという重要場面で流れるYesのプログレ曲がどちらタイミングも選曲も素晴らしい
ボーリング場のシーンでいきなりレイラが踊り出してキングクリムゾンが流れたり、小津安二郎の影響を受けたという固定カット、回想シーンの画面ど真ん中ワイプカットインみたいな演出も斬新すぎた

誰にも愛されず育ってきたビリーが 生きられない と絶望するシーンが印象的
出会ってからビリーの純粋な人間性に惹かれていき、包み込むレイラ

レイラを演じた当時まだ18歳のクリスティーナリッチが本当にキュートで魅力的でレイラの穏やかなキャラクターもこの映画を成り立たせる大きな要因だと思う
かなり歪なラブストーリーだが、終わり方もとても良い
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