【過去に観た映画】2012.10.15
大阪 梅田ガーデンシネマ。
昭和を代表する文豪たちの小説を基に、将来を担う映画監督や俳優たちが映画化したオムニバス6本。
【見つめられる淑女たち編】
●「注文の多い料理店」(原作:宮沢賢治/監督:冨永昌敬)
原作の紳士二人を不倫関係の男女にしているのが面白い。
でも、男が宮迫なので、なんとなくテイストが土曜ワイド劇場
っぽくなっていたのと、伏線はっているのに回収ナシの
オチが残念。
石原さとみの脚にオイルを塗るシーンがエロティックだった。
●「乳房」(原作・三浦哲郎/西海謙一郎監督)
この原作を映像化するとかなり奇異な感じはするが、。
全体に漂うトーンが穏やかで自然に観られたが印象薄いか……。
●「人妻」(原作・永井荷風/熊切和嘉監督)
主演の人妻を演じる谷村美月がキュートなのに小悪魔的な表情やしぐさをみせるのが、けっこう萌える。
そんな人妻に妄想を抱く下宿人の男も色気があってイイ。
“悪魔のささやき”を映像化したのは大胆だけど面白い。
【告白する紳士たち】
●「鮨」(原作・岡本かの子/関根光才監督)
リリーフランキーは好きだけど、このキャスティングは
どうかなあと、個人的にはちょっと違和感。
少年が鮨を食べるシーンは、昭和の母親の愛があふれていて、
うるうるした。
●「握った手」(原作・坂口安吾/山下敦弘監督)
山田孝之と成海璃子というキャストがステキだが、
さすがに5本目となるとやや疲れ、単調なシーンに
少しうとうとしてしまった。
●「幸福の彼方」(原作・林芙美子/谷口正晃監督)
映画24区KYOYOの俳優ワークショップで講師をされた谷口監督の作品。
これが一番観たく、一番よかった。
脚本が鎌田敏夫というのもいい。
谷口監督から撮影秘話も聞いていたところだったので、
一つ一つのシーンが愛おしく感じられた。
とても丁寧に撮られている感じがしたが、正味3日間で撮ったというから、驚いた。
ワークショップに参加されていた女優さんも出演されていた。
個性的な笑顔で、素敵な方だと思っていたが、やはりスクリーンでみてもその笑顔が活かされていた。
ラスト近くの電車内でのシーンは微笑ましくて心があたたかくなった。
どの作品も昭和の良き時代の雰囲気が出ていてよかった。
「淑女編」はもう少し官能的かと思っていたが、
妄想しすぎか……。割と情緒的な感じだった。
観終わって、すぐに原作本を買って読む。
この原作をこんな風にシナリオにして、こんな風な演出で
映像にしたのかと、感心したり、自分ならこうするけどなあと思ったり、勉強になっておもしろかった。