麻衣

王女メディアの麻衣のレビュー・感想・評価

王女メディア(1969年製作の映画)
3.9
小学校の図書室に入っていた本の中で好きだったのが、里中満智子のマンガギリシア神話シリーズ。その中でも第6巻の「激情の王女メデイア」は特に良かった。
ギリシア神話を通して、女は文字通り男の戦利品だし、常に中心に男がいてその周縁に女が存在させられている印象がある。例によって、じゃあアンタの出番はここでおしまい、今までありがとな、くらいの軽さでイアソンに追い出されそうになると、メディアという女性だけはこの構図自体に異議を唱え、身勝手な男に然るべき復讐をする。自分のストーリーにきっちりと自分なりの落とし前をつける。メディアは登場したそのときから誰かに用意された選択肢を飲み込むようなことはなく、いつでも主体的に人生の舵を切っていた。先駆的。賢く美しく恐ろしいこの女性は、キャラの濃い人物揃いのギリシア神話の中でも異彩を放っていると思う。
このイアソンかなり神経を逆撫でしてくるので、忌憚なくメディアを応援できてありがたい。復讐って楽なことじゃないからね。
イタリア語がやたら聞き取りやすくて、自分の語学力が向上したのかと勘違いしそうになった。
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