Melko

おいしいコーヒーの真実のMelkoのレビュー・感想・評価

おいしいコーヒーの真実(2006年製作の映画)
3.6
「農家の人々のことを思うと悲しいね。仕方なく安く売った豆が、ここに並んでもいない。」

大人になってからコーヒーが好きになった。
一日一コーヒー☕️
コーヒー愛飲家としては、いつか見なければ、と思っていたドキュメンタリー。

14年前の作品。
今やIT大国であるエストニアが、この作品製作時の世界バリスタ選手権において「途上国」と言われてから、14年。
コーヒー農家や、豆の選別場の女性達の生活は、この作品で映し出される状況よりは、マシになったのだろうか。
はたまた、技術の進歩に伴うオートメーション化により、もっと過酷な状況になっているのだろうか。

8時間必死に働いても50セントしかもらえない
耕せる畑の場所は、国からの指定
コーヒー豆の栽培と収穫だけでは暮らせない
生きるためにやる、麻薬の栽培
お金がないから学校に行けず、仕事の幅は広がらず、コーヒー豆を栽培するしかない
今を生きるために得る緊急支援
本当に必要なのは、物資ではなく「仕事」や「教育」の支援
抜け出せない貧困の連鎖

コーヒー農家から我々消費者に届くまで、人の手を渡ること、6回
想像していたよりも不公平な扱いをされているコーヒー農家

どう考えても、公に言えないメカニズムを抱えている故の取材拒否としか思えん大企業
あぁ、元々そこらへんのコーヒーはあまり好かんかったけど、殊更遠のいてしまう

コーヒーだけに限った事ではなく、肉や野菜、牛乳、衣服、車、寝具、何にでも言える事だ
「自国では作れない」けど必要なモノには、それ相応のお金を払わねばならないのだ

「好きな事で食べてる」優雅で技の披露に真剣なバリスタは、原材料まで思いを馳せたことがあるだろうか
私の友人で、某S社のコーヒーマイスター的なポジションのあの子は、自分が挽く豆
の農家のことを考えたことがあるだろうか

私も、ジャンルは違えどモノ作りに従事する身。日々コストとのせめぎ合い。
出来るだけお金を払わず物事を進めようとするケチな上司に、この作品を見せたい。

ドキュメンタリーとしては、正直言って微妙だった。撮影したままの映像を、後ろに音楽だけつけて、起こっている現実をそのまま見せてる感があり、グッと引き込まれはせず、見ながらぼんやり色々考えた。
それでは没入出来ていないので、うーん、という感じ。
あと、密着する対象が組合代表タデッセ一人なのも、表現がどうしても偏ってしまうので、メッセージの説得力が欠ける。
ただ、ともすれば農協からも卸先からも文句言われそうなタデッセの奮闘ぶりは、純粋に見れて良かったと思う。
今の時代ではあまりないかも、農場、工場、展示会、時には外国と駆け回る。足で稼ぐ、男の仕事。
自分の国の産業をとにかく何とかしたい、より多くの世界の人々にエチオピアのコーヒーを知ってほしい。お金を稼ぐ先には、「教育」という未来への投資を。その想いは伝わった。

民族的なBGMはすごく良かったけどな〜
サントラだけ欲しくなった

個人的には、怒号飛び交うNYの株式取引所の空気がすごい嫌だった

▼以下、余談の自分語り▼
私は、行きつけのコーヒー屋で豆を2種買っている。豆はその場で挽いてもらう。
そこで買い始めてもう4年ぐらいかな。友人の結婚式の引き出物でもらったフレンチプレスを使いたくて。
2種買うとまあまあ気張った値段するんだけど、その分、家で大満足の美味しいコーヒーが飲める。店主は各国の農家から直接豆を買ってるそうな。
その年その年の収穫量によって、仕入れる量も違うから、気に入った味にまた出逢えるとは限らない。
一度トライしたエチオピアは、私には酸っぱくて…
専ら私はグァテマラ派。インドネシア産も紅茶みたいな味わいがフルーティーで良かった。
もうすぐ家のストック切れるから、今度行ったら、農家のことも少し聞いてみようかな。
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