Melko

僕のボーガスのMelkoのレビュー・感想・評価

僕のボーガス(1996年製作の映画)
4.0
”The one is gentle, not afraid to play, not afraid to love and not afraid to trust”
「優しい人というのは、心から遊び、心から愛して、心から信じる人だ。」
とっても好きな訳。

たまたまフィルマをチェックしてて見つけた作品。クリップに入れてたら、アマプラで見放題とのことで。

掘り出し物なファミリーファンタジー。クスッと笑えて、泣けて、ほっこり。最初と途中と最後で、しっかり3回泣いたわ。。
ラスベガスでショーに出るママを、交通事故で亡くすアルバート。アルバート役が、幼い幼いハーレイジョエルオスメントくん!めっちゃくちゃかわいい。。ミキハウスのCMに出てきそうな可愛らしさ。
冒頭は、わたしの大好きなシルクドゥソレイユちっくなファンタジーサーカスシーンからスタートするが、途端にハードモード。
1回目に泣いたのは、お母さんのお墓で、友人のマジシャンが「Bon boyage」と言いながら飛ばした鳩を、アルバートが見上げ見つめる場面。
周りの大人が泣くから、ホントは誰よりも泣きたかったけど泣けなかったアルバート。胸が締め付けられる。
2回目に泣いたのは、引き取ってくれるハリエットの元へ行くべく乗った飛行機で、ママによく似た人を見つけ、思わずトイレに入って泣くところ。我慢してたんだよね。。
今朝まで当たり前のように自分のそばにいた人が、突然いなくなってしまう戸惑いと悲しみ。小さな体は消えてしまいそうで、不安になる。友人と思ってた大人たちは、何かと理由をつけて、自分をそばに置いてくれない。子どもはそういうの敏感に感じ取ってしまうモノ。必要とされてない。
やさぐれた時に現れるイマジナリーフレンドと、イヤイヤ引き取ってくれる大人。
イマジナリーフレンドは、ただの友達ではない。
それは、「自分自身」。良心とイタズラ心。ここぞという時に、後押しをしてくれる親友。言いにくいことを言ってくれる人。
全然噛み合わないアルバートとハリエットを繋ぎ止めるのは、同じイマジナリーフレンドのボーガス。でも彼は「ボーガス(偽り)」。ボーガスはいつもそばにいてくれる。でも、彼に頼ってばかりということは、過去にすがってばかりということ。
現実に目を向けなければ。
ハリエットが、バリキャリなのにいつも文句や小言ばかりなのは、「どこにいたの?わたしが必要としてた時にあなたはいなかった」とボーガスに言うセリフが全て。孤児だった彼女の、それでもしっかりしなければ、と自分を奮い立たせた切ない幼少期が垣間見える。

3回目に泣くのはラスト手前。
そして、ボーガスは少しずつ見えなくなってゆく。
飄々としたボーガスのおしゃれなラストも大好き。

ストーリーも良いが、とにかくハーレイくんがかわいい。
ボーガスと戦いごっこの末、撃たれて死んだフリした後ハリエットに起こされる時の寝ぼけた表情が、たまらない。。

いい映画に出会えた。
ボーガスは、必要な時に現れる。
Melko

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