【アイルランドが英国から独立したときに】
ケン・ローチ監督作品。英独伊アイルランド合作。カンヌ映画祭パルムドール。
1920年頃にアイルランドの英国から独立した際の闘いや内部抗争を扱っている作品である。
英国の横暴さに対して武器を取って立ち上がったアイルランドの青年たち。家族や仲間に犠牲を出しながらも戦い抜き、やがて独立を勝ち取る。しかしその独立は、彼らが望んだような完全な独立ではなく、英連邦の一員としての不完全な独立であり、英国とアイルランドの妥協の産物だった。
ここで仲間たちは分裂する。あくまで完全独立を目指す者たちと、とりあえず妥協もやむなしとする者たち。そして悲劇が起こる・・・。
映画では英国軍人の横暴非道ぶりが容赦なく描かれている。よくある「英国は紳士の国」ふうの思いこみを覆してくれること請け合い。
アイルランドの若者たちの内部抗争や微妙な人間関係もよく捉えている。最初は武装闘争に懐疑的だった主人公が、やがて闘争に打ち込み、最後は完全独立派となってしまう運命の皮肉も悪くない。
ただ、淡々とした作りのせいか、かすかにではあるが物足りなさが残るのである。私だけかも知れないけど。