カツマ

ジュラシック・パーク IIIのカツマのレビュー・感想・評価

ジュラシック・パーク III(2001年製作の映画)
3.8
再び対峙する恐怖の魔窟。あの畏怖、あの衝撃、悲劇はフラッシュバックするかのように瞬き、人類の禁忌を強烈に悟らせた。にも関わらず、恐竜たちとの再会は博士にとって運命的に不可避であった。ジュラシック・パークの夢も今は昔。取り残された残骸は、新しい命を賭けて、新たな世界へ悠々と羽ばたいていったのだった。

ジュラシック・パークシリーズ三作目にして三部作のラストを飾る本作では、スピルバーグが監督から製作総指揮にまわり、代わりに『ジュマンジ』でメガホンを取ったジョー・ジョンストンへとバトンタッチされた。主演は一作目で主演を務めたサム・ニールが再登板となり、コンパクトにディフォルメ化されたジュラシック・パークミニ版のような印象の作品である。全体的な構造もシンプルで、エンタメ、パニック映画に特化した作り。90分強という尺もジュラシックシリーズの中でも最短となったが、一作目のテーマを再び蘇らせようとする努力を感じる作品だった。

〜あらすじ〜

マルコム博士らが恐竜を保存する島、ソルナ島で巻き込まれた騒乱から4年後。その島の近海を飛ぶ一騎のパラグライダーがあった。パラグライダーを駆るのは大人と少年のペアで、二人は空高く飛び、雄大な島を悠々と眺めていた。だが、下界のボートの乗組員が突如として姿を消し、二人は空に投げ出され、島の方へと落下していった。
一方、ジュラシック・パーク事件で一躍有名人となったアラン・グラント博士だが、相変わらずの資金難に喘いでおり、状況は8年前と変わってはいなかった。そこへカービー・エンタープライズの社長を名乗るポール・カービーとその妻アマンダが、多額の援助を餌にアランにソルナ島のガイドの依頼にやってきた。そもそもソルナ島に上陸したことのないアランは一度は断るも、助手のビリーの後押しもあり渋々ツアーへの参加を決める。
当初、カービー夫妻はバカンス目的で、空から島を眺めるのみと言っていたのだが、アランの忠告を無視して島へと着陸。実はカービー夫妻は、島にパラグライダーで不時着して行方不明になっているあの少年を探していて・・。

〜見どころと感想〜

一作目ほどのセンセーショナルもなく、二作目ほどの方向転換もない三作目だが、主人公を一作目に戻すことも含めて原点回帰を強く打ち出した作風は好感が持てる。恐竜もラプトルやティラノサウルスばかりではなく、様々な種族が登場。特殊な装備も揃っていない面々で人命救助と島からの脱出、両方をこなさなくてはならない絶望感は凄まじい。家族愛、子ども目線など、スピルバーグ色は継続されており、パニック映画の要素は維持しつつ、アドベンチャー要素も復活させた続編となった。

主演にはサム・ニールが再登場。やはりジュラシック・パークの主人公は彼、というイメージは強かったか。逆にジェフ・ゴールドブラムは出てこないので、二作目と三作目で主人公を分け合った形となった。ローラ・ダーンも短いシーンで出演するも、島への上陸はなく、落ち着いた役柄に。他には名優ウィリアム・H・メイシーや、『ディープ・インパクト』や『天使のくれた時間』など当時のヒット作に次々と出演していたティア・レオーニらを起用。またビリー役に未だに細かい役で見かけることのあるアレッサンドロ・二ヴォラをキャスティング。何気に当時の売れっ子俳優を揃えた布陣となっている。

今作はマイケル・クライトンの作品を原作としておらず、映画オリジナル脚本となっている。もっと突き詰めることはできた気もしたが、『島に入らなくてはならない理由』が明確なため、物語の筋道はまっすぐと伸びていた。ラストはやや力業ではあったけれど、ハラハラドキドキが常に続く作品とあっては、あの終わらせ方でちょうど良かったかもしれない。とりあえずジュラシック・パーク三部作はこれにてお終い。ジュラシックシリーズはワールドへとその裾野を広げていくことになるのです。

〜あとがき〜

ジュラシックワールド公開に向けたジュラシック祭りの第三弾は、三部作のラストを飾ることになった『ジュラシック・パーク3』!『ロストワールド』ほど酷評されず、『ジュラシック・パーク』ほど注目を集めなかった本作ですが、再見するとやはり面白い。監督がバトンタッチしてもテーマが一貫しているところも良いですね。

ジュラシック・ワールド2作品はすでにレビュー済みですので、次のジュラシック祭りは新作のレビューになるかと思います。何気に全作品を時系列順に見てきましたので、ジュラシックシリーズ最終作を拝めるのは至高の喜び。この週末に見るかは分かりませんが、必ず劇場で鑑賞したいと思っています。
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