半兵衛

カビリアの半兵衛のレビュー・感想・評価

カビリア(1914年製作の映画)
3.8
この映画を見ると、現在までに至る大作映画に基礎が100年以上前に完成していたことに驚かされる。冒頭の火山の噴火による作り込まれたセットが次々と倒壊していく破壊シーン、主人公の少女カビリアが連れ去られる神殿の巨大なセット、数百人のエキストラに加えて馬や象まで繰り出される戦闘シーン…。これらは今見てもダイナミックな躍動感が画面から伝わり、またきちんとお話も作られているのでそれまでの活劇とは違った映画に当時の人たちの驚きは半端なかっただろうなと想像してしまう。基本カメラは据え置き状態ではあるが、時折パンしたりズームしたりといった動きのある撮影技法があるので飽きない。

それでも現代の映画と違ってまだ顔のアップを撮るという技術が確立していなかったため、主人公のカビリアをはじめ登場人物の顔が今一つ把握できないまま映画が進行していくので話に入り込めないところがある。そのなかで唯一目立っていたのはムキムキの筋肉とユーモアに満ちた動作でインパクトを放つマチステ、敵を倒すときも武器を使わず怪力で相手を豪快に投げ飛ばすのが痛快。

あと劇中でアリストテレスが虫眼鏡で太陽光を集めて紙に火をつける理論を応用して製作した、集めた太陽光線で敵の船などに火をつける巨大兵器もよく映像化したなと感心してしまう(今から2000年ほど前、本当にこういう兵器があったというから驚き)。

毒を飲んで苦しむ王女の顔が迫力ありすぎて怖い。

聖書で批判的に書かれたエルサレム近郊の人たちが紀元前に信仰していたとされるモロクによる過激な儀式の映像も見所、巨大な像(その内部は炎が燃えている)の中に神のための生け贄となる子供を入れる様子は結構センセーショナル。
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