2005年の「バットマン ビギンズ」から始まったクリストファー・ノーラン監督の〝ダークナイト3部作〟の完結編。
シリーズ3作を通じてノーラン監督の〝ダークでシリアス〟な世界観をぶれる事なく貫き、見事に完結させたと言っていいのではないだろうか。観終わった後、タイトルの意味を噛み締める。
3作共に登場するマイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマンのベテラン3人が作品に安定感と重厚感をもたらす。この3人が出ているだけで映画としての格が上がる😊
本作ではバットマンファンにはお馴染みのキャットウーマン(アン・ハサウェイ)を登場させたり、最後にサプライズキャラクターの登場をチラつかせるなど、昔からのバットマンファンへのサービス心も感じられる。
前2作で描かれたレイチェルとの恋愛パートが、キャットウーマンとの男女混合アクションパートに変わった為、バットマン映画の原点でもあるバトルシーンが増えている。
何と言ってもメーンイベントは、ゴッサムを恐怖のどん底に陥れるスーパーヴィランとの一騎打ち。異様で不気味なマスクを付け、巨大で屈強な肉体と明晰な頭脳を併せ持つラスボス、ベインをトム・ハーディが圧倒的な存在感で演じている。
近未来を想起させる斬新な乗り物や兵器が登場するのに、最後は素手の殴り合いかい‼︎などとツッコミを入れてはいけない😅これはもともと少年(少女)が胸躍らせるアメコミ原作であることをお忘れなく。
核兵器の雑な扱いなど気になるところはあるものの、ノーランらしいCGに頼らない本物のアクションをたっぷりと見せながら、前半及びシリーズ全体の伏線を次々と回収していく後半の畳み掛けは見事。
ひとつのシリーズの完璧な終わりと同時に、次の物語の始まりを予見させるラストにも唸らされる。
〈余談ですが〉
今回「ダークナイト3部作」を改めて観ようと思ったのは、アカデミー賞作品賞を受賞した「オッペンハイマー」で主演男優を務めたキリアン・マーフィのフィルモグラフィを見て、彼が「ダークナイト3部作」の全てに出演していたことを知った為だ。
3作ともに公開時に劇場鑑賞しているし、「ダークナイト」と「ダークナイト ライジング」は、その後もう1度観ているのに、彼のことはあまり記憶に残ってなかった。
今回改めて観て気づいたのだが、1作目の「バットマン ビギンズ」こそ、ヴィランであるスケアクロウという重要な役で出ていたが、続く「ダークナイト」や「ダークナイト ライジング」の役は、彼である必要性のない役だった。
逆に言えば、監督のクリストファー・ノーランは、2作目以降も何とか彼をどこかで使いたかったのではないだろうか?その証拠にノーランはこの3部作以外の「インセプション」と「ダンケルク」でも彼を起用している。
監督が1人の役者に目を掛け、小さな役でも使い続け、信頼関係を徐々に築き上げ、やがて大作映画で主演を任せる。
監督が役者を育てるいいお手本であると同時に、ひとつの映画での出会いが、その後の役者の人生を変えていった経緯を改めてなぞることができ、何故だかちょっと得した気分になれた😊