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シャインのmiporingoのネタバレレビュー・内容・結末

シャイン(1996年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

実在のピアニストデヴィッド・ヘルフゴットの半生を描いた作品。愛と許しの映画です。昔一度観て、本も読んでCDも買ってしまったほどハマった映画がまた配信で観られて嬉しかった。子供の頃から父親に手ほどきを受けてメキメキと上達し、神童と言われアメリカ留学まで決まりそうになった時に父親から留学を反対され諦めざるを得ないが、その後イギリス王立音楽学校へ奨学金留学が決まったときには固い決心で半ば勘当される形で家を出ていく。しかしこんどは教師や友人にも恵まれ将来を嘱望され天才と言われていたにもかかわらず、努力の結実ともいえる素晴らしい演奏を披露し成功まであと一歩というときに精神に異常をきたしてしまう。後半は、医者からピアノに触れることを禁じられ父親にも拒絶され精神病院で過ごすという絶望的な状況から、再び演奏活動が出来るようになるまでの軌跡が描かれている。
ストーリーも感動的だけど、音楽もほんとに素晴らしい。演奏の手の部分は本当のヘルフゴッドの演奏だそうだ。特にラフマニノフの3番のシーンは鬼気迫る緊迫感のあるすごい演奏だった。それとは別に大人になってからのヘルフゴットを演じたジェフリー・ラッシュが実際にピアノを弾いているのにも驚いた。子供の頃に習っていたピアノをこの作品のためにまた練習したとwikiに書いてあった。彼の演技もまた素晴らしく、ヘルフゴットが乗り移ったみたいで、オスカー獲得も納得。YouTubeにヘルフゴットがアカデミー賞の時に演奏する動画がアップされていて、壇上の彼と客席にいるジェフリー・ラッシュがあらためてほんとそっくり。ヘルフゴットが弾くラフマニノフの3番もYouTubeにあります。奇声を上げたりして事情を知らない人はビックリかもだけど楽章の間にサムアップして拍手をもらったり演奏のあと指揮者やコンマスにハグやキスをしたりする様子に、映画を見たあとだと泣いちゃう。

ここからはちょっと違和感を感じたところ。父親との関係については事実とはどうやら違っているようで、確かに映画でも父親は矛盾と自己破綻の人物なんですよね。説明がつかない。デヴィッドにピアノを叩き込み上達を喜びながら留学を許さないってどういうことなんだろう?と。デヴィッドが精神に異常をきたした原因は映画でははっきりとした説明はないながらも父親のせいのように描かれていてwikiでは母方の方の遺伝性のものだった可能性が高いと書いてあった。
本を再読して確かめたかったのだけれど、どんなに探しても家に見つからず。実在の人物を描くときは出来るだけ事実に即して作って欲しいし、これでは父親も家族も浮かばれないんじゃないのか…と思ってしまった。
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