Nana

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離のNanaのレビュー・感想・評価

5.0
【2018/3/11 (1回目) 飛行機】4.3
ウィーンからの帰りの飛行機で観ました。
楽しい思い出のあるウィーンの街でのお話という時点でテンションが上がりましたが、それ以上に内容が良かったです。

最初にジェシーがセリーヌに話しかけるシーンでは訝しげな表情でしたが、人生や恋愛における価値観などを話すうちに、徐々に心の距離が縮まり惹かれ合う2人の関係は、まさに大人の恋愛という感じで、素敵だなぁと憧れてしまいました。
レコードを聴いているシーンでお互い様子見して良い雰囲気なのに踏み出せないリアルさや、カフェで友達に電話をかけてる設定で話すシーンで、お互いの素敵なところを伝えるロマンチックさなど、バランスが心地良い映画で大好きです。

【2023/9/2 (4回目?) サブスク】4.6
ハネムーンでウィーンに行くので復習がてら再鑑賞。

【2024/2/2 18:25-20:20(5回目?) リバイバル上映】5.0
書いた通り実は5,6回目の鑑賞になりますが、人生で1番好きな映画です。
いまだにこの映画より刺さる映画に出会えない。

この映画ほど哲学的で詩的で、現実的で幻想的な映画に出会えたことがなく、逆にあれば教えてほしい。
絶妙に相入れないテイストが融合してて、哲学という学問として解釈したいシーンもあれば、言葉に落とし込まずに感覚で理解したくなる詩的なシーンもあり、
絶妙な距離感など異性との付き合いで実際に感じる感覚もあれば、このストーリー全体や一つ一つの会話が実は何か夢だったのではと思う感覚もあり、
とにかく何度観ても印象に残るセリフもそれに対する感想も変わって、本当に凄い映画だと思います。

今回映画館で観て、サブスクや飛行機で観るより集中して観れた結果、新たな感想がありました。
・ジェシーが少年の時におばあさんの霊を見た話をするシーンが私も好き。そんな小さな時から繊細で、大切な気持ちと思い出をサラッと話せるところも素敵。
・24時間365日誰かの日常を撮る番組の話で「日常こそ美しいと思う」って話をするけど、私も思うようになった。この映画の出会いや会話はもちろん美しいけど、ある日の夕焼けや大切な人の笑顔とか美しいってことに気付けていないものがたくさんあるなと思う。あるいは美しいものに気付けるような素敵な日常を過ごせていない。ちなみにウィーンの旅行写真を見返すと、有名な観光地だけの写真より、公園で人々がのんびりしたり犬を散歩させたり、観光地でも座り込んでお喋りしてたりする写真の方がなぜか気に入っている。
・人の魂が分裂する話、誰にも知られない死の話は特に興味深い。普段考えつかないことだなと思いつつ、情報過多の現代に自分で「考える・考えを巡らせる」という意識が不足しているのかなと。
・裏道の木の板の上で「人が理解しようとする力が魔法」と言うところは理解できるようになってきたけど、「人と人の間に神様がいる」という話はいまだに腹落ちしてない。私の経験が浅かったり、哲学や教養が足りなかったりするからかな。
・占い師の話はもう少ししたら何となく理解できそうな気がしているけど、まだ分からないまま。でも当たり前のことを言われてるような、分かりやすい言葉ではなく抽象的で曖昧なことを言われているような、この感覚がなんとも詩的だなとも思うから、理解したら少しもったいない気もする。
・ミルクセーキの詩は今まではあまり印象に残っていなかったけど、ジェシーの気持ちの代弁?詩自体も、言葉の流れも音感も美しい。
・朝になって「愛する人のことは何でも知りたい」ってセリーヌが話すシーン、ジェシーはあまり響いてないけどとても同感。結婚してから理解したけど、束縛とかではなくて何を見て何を感じるか、些細なことも知りたくなる。どのシャツを選ぶのかなんて、愛してる人じゃないと興味が湧かないもの。
・視聴室や観覧車のシーンや芝生での会話でセリーヌもジェシーに惹かれてることは分かると私は思うけど、船の上でも芝生の上でも最後の別れ際までジェシーの押しが足りない。セックスも再会の約束も好きな人に押されたら嬉しいと思うだろうに、それに気付けないジェシーがリアルな男性だなと思った。(セックスというワードは先にセリーヌが言ってるし、その後迷ったり拒否したりする素ぶりがあるのは照れ隠しだなと思う。だから自分で「複雑に考えすぎ?」と言う。再会の約束は確かに「私たちは理性のある大人でしょ。」って言うから分かりにくいけど。ここまで惹かれた人に2度と会いたくないわけない、日常的に連絡を取れる関係は疎遠になった経験があるから迷うものの、そうでなければまた会って会話がしたいと思うと思うの。でもあまりにジェシーの圧が強いとこの映画のトーンとバランスが取れなくて陳腐だし、この絶妙なリアルさや儚さがなくてつまらない。
・前回観てからウィーンに行って夫とロケ地を巡ったから、その後に一緒に改めて観ると、(ここはあそこだ!)とか(ハネムーン楽しかったなぁ…)とかテンションめっちゃ上がった。
・私が観た映画館ではカップルもいたけど、私みたいな大ファンと思しき一人女性客も一人男性客も、さらには後ろに男性客2人組もいた。「表現が細かく繊細で、もう一回観たいなぁ」「続きもあるから今度観ようぜ」みたいな会話をしてて、彼らが初見か分からないけど嬉しかった(初日平日の夜に観に来るくらいだから大ファンかと思ってたけど初見?)。あと、みんなこの映画大好きで観に来てるからかエンドロールが終わるまで立ち上がらず、しっかり最後まで観れた。あの場で観てた人同士で感想交換したいなぁ。
・映画を観てからハイライトしながら夜から次の日までデートして、帰りはとても寂しい気持ちになった。けど、船の上でする「時間は戻れないからこそ儚くて美しい」みたいな話を思い出して、納得しつつ満足しつつやっぱり寂しい気持ちになった。もう一度一人で映画館に観に行こうかな。

私はBEFORE SUNRISEはこれだけ観てるけど、実はBEFORE SUNSETはまだ1回だけ、BEFORE MIDNIGHTは生涯愛すると決めた人と観ると決めているのですが、結婚してもまだもったいなくて観ていない状態です。
夫とBEFORE SUNSETを一緒に観たいなと思いつつ、他のシリーズものと違いすぐに観るのは違うので、またちょっと先に。

【2024/2/15 19:25-21:20(6回目?) リバイバル上映】5.0
今回は、前回観てから時間が経ってなかったから気軽に総ざらいする気持ちで。
・映画館に最終日に観に来てる人は本当色々で、この映画が色んな属性の方に愛されてると思うとめちゃくちゃ嬉しい🥰「知ってる場所映るかなと思ったけどあんまりなかったから、ローカルな場所なのかな〜」って言ってた女の子いたけど、いやウィーンの旧市街も結構あるよと内心思うなど。。。
・占い師のシーンで、「人生のもどかしさを受け入れなさい」「自分の心が平和になれば人と真の関係を築けるわ」っていうセリフがミソかなと思ったけど、セリーヌが親に言われる職業の話とか子供の希望を全て受け入れる親の話とか、そういった人生の憂いみたいなもののことかなと思った。後者の発言は自分の人間関係を省みると大事な考え方だなと。まぁでもあの占い師のおばあさんもなんか趣きがある。最後の「みんな星屑よ〜」って言ったのは、どういう真意があったんだろう?
・昔働いてたお店の店長が「人に与えられない人生は虚しい」って話をセリーヌが話してたシーンで、まだ100%腹落ちはしてないけど、自分のためだけに生きる人生は虚しいというのは理解できる。でも「与える」っていう表現がなんか引っかかるなぁ。対象として最初に思い浮かぶものは愛情だけど、愛情って「与える」もの?与えるものかもしれないけど、虚しいと思うのは与えると思ってるからでは?つまり、自分の意思で愛情を誰かにgiveする時って「注ぐ」の方が適切な気がする。
・そういえば書き忘れてたけど、最後に2人が過ごした場所の映像流すシーン、エモい。。。朝で人がほぼいない、あるいは日常の一部として映されてるところがさらにエモさを上げてる。
・あとこれも書き忘れてたけど、最後に2人が幸せな表情で目を閉じて眠りにつくシーンがゆっくり観てる人を現実に戻していくイメージでとても好き。

以下、お母さんと感想話しての追記。2024/2/17
・コミュ力・教養の観点「2人のコミュ力が高い。初対面の人とああいう話する?特に哲学の教養が深い。日本人でこういう話する人はいないと思う。でもそれは宗教を信じてる人が大多数の国ではないからかも。」
・ストーリーの観点「スマホやSNSが普及してない時代だったから、このストーリーの良さがあるのかも。今の時代なら簡単に連絡取れるから、あの限定された時間というストーリーが難しいし、続きもできるからこそ深い話はできないのかも。」
・ウィーン観点「旅行に行けてたら、場所の観点でも楽しめたのかなと思うと残念。ウィーン行けた時の楽しみは増えた。」
・刺さり度「1回観ただけだと話も場所も翻訳も観るものが多いから、また観たい。続きも気になる。」
・観客層「結構年配の人もいたのは、その人達が放映当時若くて、懐かしくてまた観にきたのでは?」
・この映画観るとなんとなく哲学に触れたくなる。お母さんも本借りてたし、私も本買った。あとお姉ちゃんにもおすすめしてくれてた。笑
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