マヒロ

赤い河のマヒロのレビュー・感想・評価

赤い河(1948年製作の映画)
3.5
野心的な開拓者のダンソン(ジョン・ウェイン)は、相棒のグルート(ウォルター・ブレナン)とインディアンの襲撃から逃れた少年・マット(モンゴメリー・クリフト)と共に自分の牧場を作り上げる。数年後、1万頭近くまで増えた牛たちを売りにいくために、テキサスから遠くミズーリの地まで運ぶ命がけの仕事を始める……というお話。

「カウボーイ」ってもう当たり前のように言ってる単語だけど、こういう牛を運ぶ人たちを言ってたということを初めて知った。簡単に運ぶというが、テキサスからミズーリまでは調べてみたら約1200キロくらい……大阪から北海道くらいまでの距離があるらしく、1万頭もの牛を引き連れて馬で旅しなければならないというのは並大抵の仕事ではないというのがわかる。

大量の牛が荒野を往くだけでもう圧巻の光景で、些細なことをきっかけにパニックになり大暴れしてしまうシーンや、川を横断するだけのシーンですらスリリング。牛に轢き潰された男が誰なのかを服などで判断する場面は、画面に何か映るわけではないが地味にショッキングで忘れられない描写の一つ。

ジョン・ウェインは『捜索者』を思い出すややダーティな役どころで、いかにもテキサスのおっさんという感じの家父長的頑固オヤジであり、仕事への余りにも一貫した姿勢から徐々に無茶なことをやりして若者であるマットと徐々に対立していくことになる。旧世代に反発する新世代という構図は、映画界における後のニューシネマの台頭を思わせられるし、それをまんま西部劇のアイコンであるジョン・ウェインと新人モンゴメリー・クリフトにやらせているというのが象徴的に感じた。『地上より永遠に』でもモンゴメリー・クリフトは反骨の男を演じていたけど、凛々しい眉毛に意志の強そうなキリッとした顔立ちが実にこういう役に似合う。
この対立は一応決着は付くものの、個人的にはちょっとなぁという感じの落ち着き方で、感動的ではあるがもっとハッキリ白黒付けてくれた方が嬉しかったかな。

何気に一番インパクト強かったのは中盤辺りで現れるヒロイン的ポジションの女性・ミレー(ジョアン・ドレー)で、インディアンに襲われているところをマットたち一行と遭遇し助けられるんだけど、果敢に応戦するばかりか途中で肩に矢がぶっ刺さっても平然としているという凄い胆力の持ち主で、ラストもある意味彼女が持っていっているところもあり、出番はそれほど多いわけでもないがかなり強い印象を残すキャラクターだった。

(2019.275)
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