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Kids Return キッズ・リターンのlsloveu3のレビュー・感想・評価

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)
5.0
初めて観たのは19歳の頃だった。
俺は生きる価値が無いと本気で考えていた頃にこの映画を観た。青くさいが本当にそう思っていた時期。
自分の選択の過ちに気付かされた時だったし、東日本大震災直後の無力さも引きずっていた。

本作は何やらたけしがバイク事故で生死を彷徨ってからの映画復帰作だという。
そんな本作の物語は端的に言うと、「若者の芽を摘む話」だ。

あまりにも、あまりにも残酷だと思った。なんでこんな映画を撮ったんだよたけし。人が悪いよ。と、心は沈みに沈んだ。

最後の台詞を聞くまでは。

最後の台詞のあの魔力はなんだ。
エンドロールが涙で見えなかったのは後にも先にもこの映画のみだ。

この映画に救われた訳だが、時が経ってまた立ち止まって感じるこの映画の末恐ろしさは、最後の台詞に救われる事すら呪縛である事。
簡単には死なねぇし死んじゃいけねぇが、簡単に上手くいくわけでもないという事も甘くなく描いている。
才能と縁と環境と上下関係と友達と恋愛と。
努力しようがしまいが、成功するorしないは「たまたま」だ。
憧れようが夢見ようが知ったこっちゃ無いという冷徹さも兼ね備えている。
たけしは深淵だ。
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