イチロヲ

ポリエステルのイチロヲのレビュー・感想・評価

ポリエステル(1981年製作の映画)
3.5
怠惰な家族に翻弄されている肥満体の専業主婦(ディヴァイン)が、フラストレーションの昂りに喘いでいく。「ここがヘンだよ、ボルチモア」をテーマに取っている、ブラック・コメディ。

番号が振られたニオイ付きカードの使用を前提としている作品。映像に示された番号を指で擦ることで、カードから発せられるニオイを体感するという、「ODORAMAシステム」が採用されている(日本発売のVHSにもカードが付属されていた)。

監督の本拠地ボルチモア(メリーランド州)のデタラメな人間模様を、フィクションとドキュメンタリーが渾然一体となったスタイルで描いていく。住民たちの奇行があたりまえの世界を徹底的に突き詰めて、喜劇へと転換させていく手法。

同時代的な映画体験が必要とされる作品のため、ビデオで観ると面白さが減退してしまうが、「本気でトラッシュ映画を作って、観客を驚かせたい!」という監督の意気込みが、十二分に伝わってくる。
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