彦次郎

盛り場流し唄 新宿の女の彦次郎のレビュー・感想・評価

盛り場流し唄 新宿の女(1970年製作の映画)
3.0
「ここは東京ぅ~嘘の街ぃ~♪」藤圭子の歌う『女のブルース』がマッチする青春ドラマ。とはいえ藤圭子は流しの歌手で存在感はありますが主役ではありません。
メインの登場人物は3人。オヤジが交通事故を起こして金が必要になった沙知子と妹の真理子そして沙知子の同級生のホステス礼子です。沙知子はホステスデビューから始まりイケメン浪川と両想いとなり舟木なる実業家の愛人話も出てくるという展開でそこに礼子や真理子のサブストーリーがついてきます。ついでバーのママの娘が同級生と旅館(今でいうラヴホテルと思われる)でご性交されるエピソードもあり。
そのバーのママですが冒頭からやたら「処女」を繰り返していましたが男性客の方も新人の沙知子の貞操に関心があるという事で飲み屋というより女衒のような雰囲気でしたが昭和のテンプレート的なものでしょう。礼子の方は全共闘の活動家だかの怪しげな男に金を貢くという昨今のホストや推し活を想起させますがキチンと別れています。それでも悲惨な結末を迎えるという美女にも容赦ないのが特徴です。
暗い話ですが妹の真理子は正直というか根が明るくスカウトの村松と結構うまくやって逞しく生きていて救いとなっていました。村松もクズでなく陽性なのが良かったです。
話はともかく1970年の東京の雰囲気(景観だけでなくオッサン達の価値観とかも)が味わえるという意味では貴重な作品かもしれません。
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