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ディア・ハンターのlarabeeのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
4.5
【哀しくも素晴らしい仲間たちの物語】

いつかは観ないといけない作品っていうものがある。でも重厚過ぎて軽い気持ちで観られないからいつまで経っても横に置いてしまっている作品もある。

私にとってその代表格がこの作品(と『ゴッドファーザー』)。

そういう作品こそ観ないといけないと本作を観て改めて感じた。

ベトナム戦争を引きずる作品ってアメリカ映画の定番ではある。でも本作はそれをベトナム戦争の描写だけで描いていない。デ・ニーロ演じるマイクと、そのコミュニティーに生きる人たちの日常を活き活きと描くところから話が始まる。

工場で働く彼らは仕事を終え、仲間の車に乗り合わせて同じエリアに帰り、そこで仲間たちと飲む。鹿狩り、仲間の結婚、男たちも女たちもそのコミュニティーが生活の全てで、そこで力を合わせて生きている。

そしてベトナムへの出兵。

日常がしっかり描かれているだけにベトナムでのマイク達の過酷な環境が一層際立つ。死と隣り合わせの環境に置かれ、彼らはロシアンルーレットすら何とも思わなくなる。日常との振れ幅が凄すぎる。

そして帰還してからの生活。みんなの関係性は前と同じはずなのに、完全に同じではない。そりぁベトナムであんな経験したら二度と同じ精神状態には戻れない。

ペンシルベニア→ベトナム→ペンシルベニア、どのパートも丁寧に描かれているため見事な三層構造となっている。

しかしまだまだ私自身この作品を読み込めていないと感じる。また再鑑賞しないといけないリスト入り決定。こんな事してるといつまで経ってもclip減りません。デ・ニーロだけでも山ほど観たのに山ほど残ってるし。
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