1935年作、フランス映画
1889年に起きた、オーストリア・ハンガリー帝国皇太子ルドルフと男爵令嬢マリーヴェッツェラとの心中事件を映画化したとの
悲恋映画、階級差恋愛ドラマとして古典的な名作だと思います。
まずは、主演のお二人が輝いています。
がんしがらめの立場の中でもがき、
自暴自棄になり、やがてマリアとの恋に駆け進んでいく皇太子ルドルフを演じたのが
シャルル・ボワイエ
身勝手で、弱い、
でも、一途なロマンチスト。
そんな弱さと優しさと激しさと脆さの
両面を見事に魅せてくれています。
そして、マリアを演じたジャン・ドピュクールという女優さん、
久々に映画を観ていて、恋しちゃうくらいキュート。
お祭りで出逢った男性が皇太子と分かった時のびっくりした表情や、
意を決した時の引き締まった感じなど
どの場面も彼女の魅力が出ている。
二人でいる時に、タメ口になるところなんかも可愛いし、
身分を捨てて、彼女の元に走りたくなる気持ちも十分に分かる。
彼女が初めて皇太子の公邸を訪れる時の
階段の陰影。
二人が再会する、バレエのシーン
など、恋愛映画の王道場面も丁寧で見応え充分だ。
90分の尺の長さもちょうどいい感じで、
一気に現実の悲劇まで突き進んでいく。