フェリーニのサーカス愛と道化師たちへのオマージュ。
イタリア国営放送のために製作したテレビ映画で、子供の頃にサーカスに魅せられたフェリーニの原点のような作品。ドキュメンタリータッチと幻想が入り混じる。
異形の見せものや、怪力の女、白塗りのクラウンたち……怖さとワクワク感が同居するサーカスの楽しさ。フェリーニの子供時代に観たサーカスが再現され、故郷にいた奇妙な人たちが回想される。少年フェリーニの目に映ったクラウンや奇妙な人々は、映画作りの原点と言える。
それから監督になったフェリーニがかつてのクラウンたちを撮影しにローマやフランスへ行くという設定。フェリーニ本人も出演しています。ピエール・エテックスやアニタ・エクバーグも出演。
サーカスは時代とともに消滅しつつあり、フェリーニたちのクルーは、かつてのクラウンを探し求めるが、彼らは老いて、継承者も少ない状態。失われるサーカスをフェリーニが嘆いている。
1人のクラウンの葬儀から、クラウンたちの賑やかで華やかな長い長い祝祭へ。そこから哀愁漂うラストまでのシークエンスが素晴らしい。トランペットが奏でる「引き潮」の余韻たるや!
ニーノ・ロータのサーカスのサウンドにも酔いしれました。