藍紺

ゆれるの藍紺のレビュー・感想・評価

ゆれる(2006年製作の映画)
4.1
再鑑賞。
全てを奪う弟と、全てを奪われる兄。
キラーショットがありすぎて今回も「うひゃー」とか「えぐー」とか言いながら、時に顔を顰めながら、最後には涙してしまった。稔の足にとっくりから酒が滴り落ちるシーンとか、洗濯物を畳むシーンは毎回心が抉られる。

自分の本心なんてわからない。兄を敬う気持ちも疎ましく思う気持ちも同時に存在するように、弟を誇らしく思う気持ちも妬む気持ちも存在するのだと思う。血が繋がっていても言ってはならない言葉がある。でもつい魔が差して相手が何に傷付くかを知っている兄弟だから深く刃を突き刺してしまう、一番言われたくない言葉を。本心とは裏腹に相手を傷つけてしまう。血のつながりという切っても切れない呪いを、西川美和監督らしい表現方法で描いていて観るたびに新しい発見がある。個人的に今作がオダギリジョーのベストアクト。ラストの解釈は色々あると思うが自分は兄と弟はまだ繋がっていると思いたい。
藍紺

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