Aimi

ゆれるのAimiのネタバレレビュー・内容・結末

ゆれる(2006年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

観る人の解釈に任せる作品はとても好きだ。
私は、弟に罪の意識を負わせる復讐をした上で、自らを全ての重荷から解き放ちたかったのではないかと思う。

都会に出て好きなことを仕事にし、成功し、女性にモテて自由に生きる弟と田舎から出られず、家業を継いで父と暮らし、女性とは縁遠い兄。
表は良い人で通っているが、ということは弟だけでなく周りからあれこれと頼まれ任され、時には感情の吐口にされたり面倒ごとの後始末を任されたりしているだろうから、対照的な人生を歩む弟や周囲、そして自分自身やその人生にストレスや沸々とした感情を秘めていたんだろうと思う。
それが爆発する時があるのではと推測される場面や描写がそこかしこに用意されている。
橋の上で起きたことは事故であったが、これを復讐や自己解放の機会に利用する方向に持っていったのではないだろうか。自分からすべてを奪った弟に、嘘の証言をさせるように仕掛けていったのではないだろうか。一生付き纏う罪の意識を擦り込ませ、兄を慕い、なんとか救おうとしていた周りの者たちからのヘイトを買わせたのではないだろうか。
復讐めいたことをしたかったのではないだろうか。

そうした上で自分は、田舎暮らしや、寂れたガソリンスタンドの経営や、父の面倒から解放されて新たな人生を歩もうとしていたのではないだろうか。だからこそのラストのあの笑みなのではないだろうか。

ぐらりぐらりとゆれる画面は、ぐらりぐらりとゆれる感情。
彼らも、私たちもゆれていた。
Aimi

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