りょうすけ

アワーミュージックのりょうすけのレビュー・感想・評価

アワーミュージック(2004年製作の映画)
3.5
「アワーミュージック」

「ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争」の予習として鑑賞。21世紀の作品だが、21世紀の様な雰囲気がしない、ゴダール全盛期の60年代と80年代を掛け合わせた様なテイスト。

戦争という暴力のシーンを他作品から引用し、繋ぎ合わせた「地獄」ゴダール自身の映画論や戦争に対する考え方が反映されているだろう「煉獄」そして美しく、争いのない世界である「天国」の3つから構成される物語。

いつの時代もゴダールはゴダール。全然理解できない。でもゴダール全盛期の頃の映画と比べると、ゴダールも歳を取ったことが顕著にわかる映画だった。昔の荒削りな感じは薄れ、少し落ち着いた大人の雰囲気。

異民族による争いや戦争を昔とは違う角度で批判している。また、この辺りから「死」を悟っていたのではないかという様なシーンもある。この時既に70を超えていたと思うが、やはり意識はしていたのだろうか。

話題の新作「ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争」も同日鑑賞したが、あっちもあっちで意味のわからない作品だった。本作からかなり引用されていたので、鑑賞にあたって「アワーミュージック」の鑑賞はマストだと思う。
りょうすけ

りょうすけ