mitakosama

少年ケニヤのmitakosamaのレビュー・感想・評価

少年ケニヤ(1984年製作の映画)
3.5
角川アニメ版の少年ケニヤ。なかなかどうして見所ありますよ。
監督が大林。この頃の大林は実験的な映像を好んでいたし、実写よりも自由度の高いアニメーションの方が氏の作りたい絵づくりに近かったんじゃないのかね?

今作で言えば、従来のアニメの表現方法に加え、原作の持つ山川惣治の絵柄の再現が主目的の一つだったと思う。
新聞連載時の挿絵のペンタッチ、出版物表紙の水彩タッチなどを表現したかったのだろうなとは思う。(スパイダーバースが印刷のアミ点を再現した試みに近いね)
技術的にその再現は完全に成功したとは言えないが、僕はこういうのは凄い評価するよ。

物語は、ケニア在中の商社マン一家が太平洋戦争勃発によりイギリス兵から逃れるうち父子が離散。ワタル少年はマサイの戦士ゼガの助けもあり逞しく成長。イギリス人少女ケイトとの出会い、各部族との争い、ナチスの核兵器開発にと冒険の物語。

戦後直ぐの少年向き冒険端なので割と荒唐無稽。遭難していきなり2m級のガマガエルに襲われるのは思わず笑う。自来也かよ。しかもダーナなる10m級のヘビまで登場しそこそこ活躍するんだよな。

ケイトを神に祭り上げた悪い部族との戦い。この手の黒人を蛮族として描く描写は今ではかなりNGな気がするぞ。
そこまでならまだ良いが、今度はトカゲ族が登場する、トカゲ族て(笑)みんなトカゲの被り物してて、外されると逃げ惑う間抜けな部族だ。
しかもケイトは前身トカゲの前身タイツを着させられるという羞恥プレイだ。なかなかマニアックだな。

ケイトにいたっては醸し出す精の匂いがあり、ワタルは一々欲情する描写がある。これまたマニアック。こういうのって大林の確信犯な所よね。
mitakosama

mitakosama