キミシマユウキ

人間失格のキミシマユウキのレビュー・感想・評価

人間失格(2009年製作の映画)
3.1
そこまで長くない小説なので忠実に映画化は可能だったんじゃないかと思うが、かなり駆け足で展開する割にオリジナル要素を足すという挑戦的な作風になっていた。
主人公は原作でもたしかに女を巻き込むクソ野郎であることは間違いない。
ただ彼の心情の独白などが挟み込まれることで”なぜそうなったのか”が理解できるようになっていたのに対して、映画版では一切それが語られないので本当に無言で急に自殺未遂したりする。
小説を読んだうえで補完的に観ているならなんとかついていけるが、映画で初見の人はかなりキョトンなんじゃないか…?
その割に監督は太宰ファンだったのか、原作にはないけど実生活で太宰と親交のあった中原中也を重要なキャラとして登場させたりするからしっちゃかめっちゃかです。
ただ生田斗真のあまりにもかっこいい目の死んだ主人公は
「そりゃどの女も堕ちますわ」という妙な納得感があったし、原作でも個人的に好きだった遊び人の堀木役が伊勢谷友介というのが解釈一致過ぎてそこだけは高く評価したい。
ヒロイン陣は石原さとみがダントツで可愛かったですね。
小池栄子は『グッドバイ』でもヒロインやってたから太宰作品に縁があるのかしら…?