似太郎

孤独な場所での似太郎のレビュー・感想・評価

孤独な場所で(1950年製作の映画)
4.7
一歩間違えるとコーエン兄弟の『バートン・フィンク』になってしまう危険性もあるが、疑心暗鬼な脚本家の主人公(ハンフリー・ボガート)が災難に見舞われるサイコスリラーの傑作。

異端の映画作家・ニコラス・レイの本領が発揮された一作で、全編に渡り赤狩り全盛時の陰鬱なムードが覆っており暗澹たる気持ちにさせられる。

主演のグロリア・グレアムの妖艶さが特筆で、あのボギーを食う存在感。正攻法な画作りも素晴らしく、この監督らしいミステリアスでペダンチックなストーリーテリングが絶妙な一作と言える。

ラストは同監督の『大砂塵』同様、悪が勝つ!と言った感じで幕を閉じる。そのアイロニカルな雰囲気は如何にもアンチ・ハリウッド的作風でさすがの一言。
似太郎

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