始めは犯罪の濡れ衣着せられる型の映画か?と思いきや主人公が鮮やかに入れ替わっていく。
最初に語り手(=原則、信頼できる)側だった人間がどんどん凶暴さを出していって最後には絶望的な人物像が映し出されていく。特に今作では脚本家というまさに映画を見ている我々に物語を伝える人が主人公であるのが面白い。
しかし、観終えて思えば、オープニングからやばいような感じは出ていた。どんでん返しというほどダイナミックではないが心の髄に来る気色悪さ。ロマンティックに見せるルックも相まって、1950年の映画と思えないほど新鮮にゾクゾクする。
終盤の束縛と暴力、嫉妬、そして後悔が文字通りに大暴走、衝動的に動き出す展開の見応えが凄まじい。