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孤独な場所でのkazu1961のレビュー・感想・評価

孤独な場所で(1950年製作の映画)
3.9
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2022-015 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-510

🖋ニコラス・レイ監督の初期の代表作として、またフィルム・ノワールの秀作として評価されている作品です。本作は、当時流行していたシリアル・キラーのサイコサスペンスとして企画されましたが、主演のボガードとのリハーサルの進行と共に、レイ監督が脚本を全く書き換えてしまい、それが結果として好評を得た異色の恋愛映画です。

🖋ハンフリー・ボガートとグロリア・グラハムの演技が光る作品です。ボガードは自身とオーバラップするような苦悩に満ちた天才肌のキャラクターを体現、またヒロイン演じるグロリア・グラハムは当時の夫であるレイ監督との結婚生活の破綻をそのまま体現したと言われています。これだけでも見どころになりますね。

🖋内容的には、恋人への疑惑が次第に大きくなってゆくヒロインの心理を刻々と描いてゆくクライムサスペンスです。前述の二人の演技が素晴らしく、とても深みと成熟度を持った作品だと思います。

😨Story:(参考: allcinema )
ハリウッドの高級クラブのホステスが殺され、その嫌疑が脚本家ディックスにかけられた。だが、向かいに住む女優の卵ローレルが彼の無実を証明、これをきっかけに二人は親しくなる。献身的な愛に支えられ、脚本に没頭するディックスだったが、筆が進むにつれ暴力の衝動が頭をもたげてきた。ローレルは深く愛しながらも、彼に疑惑の念を抱くのだが……。

🔸Database🔸
・邦題 :『孤独な場所で』
・原題 :『In a Lonely Place』
・製作国 : アメリカ
・初公開 : 1950
・日本公開 : 1996/05/18
・上映時間 : 94分
・受賞 : ※※※
・監督 : ニコラス・レイ
・脚本 : アンドリュー・ソルト、エドマンド・H・ノース
・原作 : ドロシー・B・ヒューズ
『In a Lonely Place』
・撮影 : バーネット・ガフィ
・音楽 : ジョージ・アンタイル
・出演 : ハンフリー・ボガート、グロリア・グレアム

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
ハリウッドで起きた殺人事件を背景に、才能は天才的だが抑えきれない暴力的な衝動に苦悩する脚本家と元女優の若い女の破滅へと向かう壮絶な愛を描く、サイコ・サスペンスにして悲痛なる恋愛映画。「理由なき反抗」「大砂塵」などで戦後アメリカ映画に登場したもっとも重要な映画作家のひとり、ニコラス・レイの長編第5作で、彼の初期の傑作として特に高い。ハンフリー・ボガートがワーナーから飛びだしてコロンビア傘下に設立した独立プロ、サンタナ・プロの製作で、レイは同社の第1回作品「暗黒への転落」を演出している。製作はボガートのパートナーのロバート・ロード。原作はドロシー・B・ヒューズのサイコ・サスペンス小説で主人公が実は連続殺人鬼という設定だが、状況設定を除けば映画は原作とはかなりかけはなれている。脚本はエドマンド・H・ノースの脚色をもとにアンドリュー・ソルトが執筆したが、実際にはレイが撮影と平行してほとんどを書き直している。撮影はバーネット・ガフィ、美術はロバート・ピーターソン、編集はヴァイオラ・ローレンス、音楽はフランス人のジョルジュ・アントゥイユ(ジョージ・アンシール)で、いずれも「暗黒への転落」と同じスタッフ。主演は「カサブランカ」「脱出」「黄金」などのハンフリー・ボガート、「復讐は俺に任せろ」などのグロリア・グレアム。グレアムはレイの監督第2作『A Woman's Secret』に出演した折りに妊娠し、レイの二度目の妻となったが、本作の撮影中に離婚。このことから本作は二人の私生活を多分に反映しているとも言われる。ちなみにグレアムは、以後フリッツ・ラング監督の「復讐は俺に任せろ」などに主演し、またレイと最初の妻ジーン・エヴァンズの長男アンソニー・レイ (「アメリカの影」に主演) と結婚した。共演はレイと同じ30年代ニューヨークの左翼演劇運動の出身である「忘れじの面影」のアート・スミス、「サリヴァンの旅」などのロバート・ワーウィック。ちなみに真犯人の名がヘンリー・ケスラーというのは、共同製作者のヘンリー・S・ケスラーの名前を借用した楽屋オチである。
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