回想シーンでご飯3杯いける

スモークの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
4.1
タバコ屋の店主と、そこに集まる人達の群像劇。

タバコ屋の店主は、14年間毎日同じ時間、店先で写真を撮り続けている。その写真に写っている街角の光景は、一見どれも同じように見えて、実は微妙に違う。制作陣がこの映画で表現したかったのは、まさにそんな光景。何でもないように見える日常の背景にある各人の記憶や感情の物語なのだと思う。

店主の相方として登場する作家を始め、タバコ屋に集う人達は皆どこか疲れている。疲れているから、このタバコ屋に集まってくる。彼等各々のドラマが微妙に交錯していく展開も素晴らしい。

タバコ屋の店主が語る、あるクリスマスの話。そこに重なるTom Waitsの歌が、この映画のハイライトだ。日常生活にちょっと疲れてしまったオヤジ、そんなオヤジの哀愁に色気を感じる一部女子(いるのか?)にとって、心に響く最高の1作になると思う。