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三本指の男のpapandaのレビュー・感想・評価

三本指の男(1947年製作の映画)
2.8
金田一耕助初登場の小説の初映画化作品。当時はGHQの占領下で日本の民主化政策の真っ只中で、ちゃんばら映画が禁止されていた。時代劇スターの活躍のために発表されたばかりの小説を使ったのだと聞く。だから片岡千恵蔵さんを大活躍させるためにいろいろ改変したし、新しい時代を強調し民主主義を押し進め古い日本の慣習を否定するために動機も変えられたし、「殺人事件」という言葉も使えないし、日本刀も使えないので包丁に変えられたし、当時の時代の制約がいっぱいあったらしい。金田一耕助ものは今でこそ歴史ある名作揃いの傑作シリーズだけど、当時は出たばかりの新作でしかなかったのだろう。だから最近の横溝もの、金田一ものとは根本的に考え方の違う作品になっている。それでも映し出される日本の風景や人の有り様は、小説に描かれる時代と重なるだけに、原作に一番近い雰囲気なのかもしれない。
それにしてもあの原節子さんがこういうB級探偵映画に出ていること自体、今から見ると驚きの事実。杉村春子さんとか、出演者も豪華だ。
市川崑監督が本陣殺人事件の映画化を熱望していたが、版権の関係で実現できなかったと聞く。見たかったなぁ。
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