健一

楢山節考の健一のレビュー・感想・評価

楢山節考(1983年製作の映画)
4.2
人間たちが『獣』のようだ!
この村に住む村人たちは全員『もののけ』だ!

BSで放送していたので録画して鑑賞。

1983年 🇯🇵映画 カラー作品。
第7回 日本アカデミー賞
作品賞 受賞。
第36回カンヌ国際映画祭
パルムドール 受賞。

2021年10月12日。
わたくしの実家が火事になり それに伴い 一人暮らしをしていた父(84歳)を介護センターに入居させる事になりました。
なので! という訳ではないのですが、本作を鑑賞😂(バチが当たるかな🙃)。

有名な作品ですが 今回が初鑑賞。
今村昌平監督!恐るべし!
なんと恐ろしい! なんと不快で
なんと強烈な作品なのだろうか!

信州の山深い農村。
『おばあ』こと おりん は今年『楢山まいり』を迎える年になった。
それは 70歳の冬に全村人は息子に背負われ楢山の頂上に『捨て置かれる』という村の掟のこと。
『神に召される』と喜ぶ年老いた母とは対照的に息子は気持ちの整理がつかなく荒れる日々を過ごしていた・・・

腹が減ったら メシを食う。
ムラムラしたら 性欲を満たす。
嫁、村の女、村のおばば、犬、その辺に家畜されてる動物。相手はなんでもいい。
掟を破ったら 生き埋め。
老人は役に立たないから 山に捨てる。
もう 人間の欲望 丸出し!

時代設定がいつなのかわからないまま観ていたが、昔の現地での方言で登場人物たちは会話しているので やや意味不明な点もあったが、ここまで人間を 丸裸 にして描けるものなのか! 恐ろしや今村昌平監督。

サブリミナル的に山に生きる小さな生き物たちの生態が映し出され『命の誕生』『死ぬ意味』『共に生きる』ということのメッセージを監督は 観る側 に叩きつけてくる。
美しくもあり、残虐なシーンの数々。
なんとも今村昌平監督らしい。

「ミッドサマー」より数百倍 恐ろしく不快な作品だった。
にも関わらず 一瞬たりとも目が離せず一気に見入ってしまった。
日本アカデミーが作品賞、カンヌがパルムドールをあげたのは 本質の人間をリアルに嘘偽りなく勇気を持って描いた事への賞賛なのだろうか。

あぁ〜親父(オヤジ)ぃ〜〜〜。
介護センターならまだマシなほうだよ😅

ちなみに。
9年前。神奈川県にある川崎市アートセンターというところで映画を観に行ったことがあるのだが、その際ロビーにあるガラスケースの中に今村昌平監督が本作と「うなぎ」で受賞した 2つのパルムドールのトロフィーが展示されてました。
肉眼でこのトロフィーを見た時、身体が震えました。感動して🥺。
今でも展示してるのかな?
健一

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