広島カップ

あゝ声なき友の広島カップのレビュー・感想・評価

あゝ声なき友(1972年製作の映画)
3.3
天下の人気者寅さんが
意地と精魂をかたむける男の詩

戦友の遺書配達に
執念を燃やす男

えぐり出される秘められた数々の世相

この顔で
この声で
お訪ねします
日本全国の声なき友

鹿児島
長崎

米沢
小樽
日本縦断の大ロケーション

巨匠 今井正監督作品

松竹が総力を結集した雄大なスケール

心をゆさぶる限りない感動の超大作
あゝ声なき友

次週当劇場大公開

(以上、DVD特典映像特報のコピーをそのまま引用)
-------------------------------------------------
(以下、特報に使われたこのコピーを検証します)

終戦の一年前に身体を壊して日本に送還される事になった満州戦線の兵隊西山(渥美清)は、戦友達が家族に宛てた遺書を託されて帰国する。
西山は帰国後その遺書を家族に届けることを自らの大切な"任務"と思い?全国に旅に出るが戦後の日本人の在り方、日本人一人一人の戦争の受け止め方に接っするにつけ、この戦争とはなんだったのかについて考えるのだった。

フーテンの寅さんの印象が強い渥美清を本作のようなシリアスなドラマに起用するとなると、松竹としてはコピーのような"断り書き"をしなくてはならないのでしょうか。
これは両者にとって不幸なような気がします。
私を含めて観客としてはやはり主人公西山の中に寅次郎の影をどうしても見てしまいますが、それは黙っておいたあげた方がよかった気がします。
小川真由美と秘め事があったりするのを「似合ってないなぁ」と観客は思っては渥美に失礼でしょう。

日本のあちこちを旅するのも寅さんシリーズと同じですし、これを雄大なスケールと呼ぶのは間違いだと思います。
戦争悪を一人の兵隊目線で描いて成功していることは認めますが、「心をゆさぶる限りない感動の超大作」はあまりにもぶち上げ過ぎ。
全般に暗い展開ですし、それぞれのショットはスケールを感じない四畳半の匂いがしてきます。音楽が小室等というフォーク出身者というのもスケールを小さくしてしまっているように思います。
かといって芥川也寸志なんかが仮にやっても大袈裟に過ぎると思いますし、今ならイーストウッド辺りが音楽をやったとしたらもしかして似合っていたかもしれません。

松竹が総力を結集した...という辺りに該当するでしょうか、本作には渋い役者が端役でゾロゾロ出ています。
Filmarksで紹介されている本作のキャストは何故か?たった6名ですが、その他にも大勢キチンと紹介すべき役者が出演しています。

6名以外には...
新克利
梅津栄
江原真二郎
大滝秀治
小川真由美
織本順吉
加藤嘉
金井大
北林谷栄
北村和夫
財津一郎
志垣太郎
長門裕之
春川ますみ
松村達雄
山谷初男
悠木千帆
吉田日出子...

これだけ揃うことはまず無いので、総力を結集といってもいいかもしれません。
でもホントに皆んな出演時間が少ないんですけどね...
あゝもったいない。
広島カップ

広島カップ