囚人13号

ホーム・スイート・ホームの囚人13号のレビュー・感想・評価

ホーム・スイート・ホーム(1914年製作の映画)
4.2
欲求に身を委ねる者より振り回される側へ慈愛を見せる倫理の整った展開はグリフィスらしさが好転している。一巻の物語が四話連なっている短編集なのだが欲望への不寛容は『イントレランス』に通ずるし、四つの挿話に一貫した主題体系が見いだせる構造も現代のオムニバス映画と変わらない。
人間がカメラの近くまで接近するミドルショットの画角にクロースアップが挿入される情感は見事だし、三話目の爆速ドリー後の間に合わないワンミニッツ・レスキューは初めて見た。

何より素晴らしいと思ったのが無声映画にも関わらず四つの物語を介在する鍵を"音楽"に託していること、ビデオでは各話の演奏シーンになると「ホーム・スイート・ホーム」が流れてきたので、無声映画は基本的に無音推奨派だけど本作に限っては音楽付き視聴をおすすめしたい。
囚人13号

囚人13号