Taka

富士山頂のTakaのレビュー・感想・評価

富士山頂(1970年製作の映画)
4.3
不可能かと思われていた富士山レーダー建設。苦難に立ち向かいながらそれを実現させた男たちの物語。

石原プロモーション製作の劇場用映画第三弾。本作は大成建設、三菱重工業、朝日ヘリコプターの3社協力で3社とも実名で登場している。
本作は富士山レーダー入札争いから始まっており、石原裕次郎演じる三菱電機社員・梅原が富士山レーダー建設に行き着くまでのドラマ部分も描かれている。
ようやくレーダー建設に着工するがそこには「黒部の太陽」以上とも言える困難が待ち受けていた。
地盤検査されていない山頂、山頂まで工具を輸送するという厳しい状況、工事期間が2年で工事可能なのが山頂に雪がない夏の2ヶ月程度しかないという工期の厳しさ、そして高山病に苦しみながら工事をするという過酷な環境が彼らに立ちはだかる。

困難の数々を見ると、ホントに間に合うのか、そもそも完成できるのかとハラハラする。
向かい風だらけの工事に直面する大成建設現場監督の伊石昇(山崎努)の険しい表情も工事の困難さを伝える演出になっていると思う。

そんな彼らに手を差しのべる勝新太郎演じる朝吉の男気が凄い!
特に「俺たちは先祖代々富士山で食わせてもらってるんだ!」と語るシーンは最高にカッコいい。

そして中盤に颯爽と現れる渡哲也演じる朝日ヘリコプターのパイロット加田雄平がカッコいい!
乱気流が多発する危険なドーム輸送に難色を示す朝日ヘリコプターの上司に向かって「やらないんですか?富士山。やりましょうよ!」と言う渡哲也の爽やかさとカッコよさは本作の見所の一つかもしれない。

この映画が登場人物それぞれに男気を見せる見せ場があるのが良い。
大成建設の伊石や朝日ヘリの加田だけでなく、気象庁の葛木(芦田伸介)、村岡部長(宇野重吉)もカッコいい男気を見せてくれる。

物語のラストは両手放しのハッピーエンドではないというのも、企業系の映画の特徴であるのかなーと感じた。

お堅いイメージのある企業系映画の一つでありますが、登場人物たちが皆生き生きしていてとてもカッコいいので是非観てほしいオススメの作品です。
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