Mikiyoshi1986

哀しみのトリスターナのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)
4.2
本日9月20日はスペインの名優フェルナンド・レイの生誕100周年記念日!

特にブニュエルの代表作に多く出演し、年甲斐もなく色惚けした初老や醜悪な権力者を演じて強烈なインパクトを残したフェルナンド御大。

本作は「昼顔」で初タッグを組んだドヌーヴを再び迎え、
変態ブニュエルが彼女の脚を切断したいが為に制作したといっても過言ではない、年齢差男女の愛憎ドラマであります。

しかもフェルナンド演じる没落貴族の初老ロペと、彼の養女となったトリスターナことドヌーヴ間で巻き起こる近親相姦の要素が変態味を助長させます。
美しきトリスターナを独占しようとする孤独な色情爺さん。
そんな彼の高圧的な振舞いに屈服ながら、純朴な少女は少しずつ狂気めいた女へと変貌を遂げてゆくことに。

それにしてもドヌーヴの目を見張るほどの美しさよ。
彼女はどんな衣装も素敵に着こなしちゃいます。
片脚を失った姿で、バルコニーから聾唖の下男へ裸体を晒す表情は鳥肌モノ。

フランコ・ネロは無頼の凄腕ガンマンから転職し、ここではトリスターナと駆け落ちする画家役を好演。

フェルナンドは本作でも紳士ぶったエロじじいを演じているわけですが、ここでは少し趣向が違って無様な彼の哀しさが際立つ作品となっています。
天涯孤独の彼女を翻弄した見返りに、手に入れたもの・失ったものがなんともうら淋しい。

そしてこうしたフェルナンドの憎たらしいキャラクターはその翌年、名作「フレンチコネクション」でも大いに活きることとなるのです。
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