ぐりんでる

オアシスのぐりんでるのレビュー・感想・評価

オアシス(2002年製作の映画)
4.5
🌴〜〜
轢き逃げの罪による刑期を終え出所した主人公は、純粋な気持ちで被害者の家族のもとを訪ねる。
そこで出会った脳に神経麻痺を抱えた1人の女性”姫”と心を通わせていく…
〜〜🐘

これは…心を抉ってくるな
周りから対等な人として見てもらえない者同士の恋、しかもその関係性は事故の加害者と被害者の遺族

姫を雑に口説きレイプしようとする主人公、
正直この時点で、だいぶ嫌な気分になった

でもこいつは回りくどいことができない。良くも悪くも純粋のあまり頭で思ったこと、心で感じたことそのままに行動してしまってるだけらしい
まぁだからと言って擁護するわけではない。

そんなクズな気持ちがどこか変わったというより、ただ惹かれていって思いやった。きっかけは最悪だったけど、彼女が見たいものを見せてあげよう、食べたいものを食べさせてあげよう、大事な人だから家族に会わせよう。怖いものは消してあげよう。みたいなどこまでも単純な思いやり。

純粋で無様だった。でも自分が逃れることよりも、彼女の恐れるものがないようにと、必死に影を切り落とそうとする真っ直ぐな気持ちよかったなぁ

姫はもちろん最初は拒絶するが、誰かに求められる、どんな真意や言葉だとしても褒められたそのことがずっと心に残り続ける。誰も超えてこようとしなかった一線をものすごい泥まみれの土足でだけど、踏み込んできてくれた人がいる。

人として、女として見てくれる人がいることが心の中でキラキラと輝く。

そんな当たり前の感情を抱くし、それを伝える術も持っている。
なのに家族によって世の中から隠されるように閉じ込められきた。

その部屋にあるタペストリーの絵だけが外の世界で彼女が夢見るオアシス。
主人公と過ごしている時、ふと障害がない自身の姿を夢見る。
この女優さんの演技が凄まじいにも程がある…

誰も向き合わないだけで、伝える術が無いというより、聞く心を持ってない家族や世の中の人、社会に問題があるよう思えてならない。
そうやって誰も向き合ってくれないから、悲劇が起きた。

人間の無様さ、純粋さ、醜さ、美しさ。というかなんというか。
何より、この映画を観てこのレビューを書きながらまた何か綺麗事を言おうとしている自分の浅はかな態度に嫌気すらさす😷

いろいろなこと感じたけど、色の付いてない筆で絵を描いてるような、なんて言ったらいいかわからないうまく表現できない、でもすごい映画だった。またいつか見直したい。

あぁー自分の心の醜い部分に一番響いた気がする。

姫が仰ぎ見た青空、降り注ぐ陽が心に反射して放ったような眩しい笑顔が印象的だった
😏😏😏