みやび

マレーナのみやびのレビュー・感想・評価

マレーナ(2000年製作の映画)
4.5
第二次世界大戦時のイタリア・シチリア島を舞台にした、純粋で一途な愛。

思春期真っ只中の12歳の少年の届くはずのない女性に対する強い片思い。
少年が美しき未亡人・マレーナに恋をするという物語。
ストーリーは全て少年の目線で描かれている。
その姿はただひたすらに一途。
最後まで愛し、見守り、忘れない。

とても愛おしく、時にコミカルに、時にシリアス。
モリコーネの音楽がより一層本作を味わい深いものに仕立て上げていた。
トルナトーレ×モリコーネはやはり素晴らしい。

本作は真実の愛を描く物語であると同時にイタリア人にとっての戦争の物語でもある。
間接的に描かれる戦争の影はどれも残酷。
「戦争」とは第二次大戦はもちろん、個人間での事、人と人との衝突の事も指す。
マレーナの体目当ての男たち同士の争い。
それに嫉妬する女たち。
マレーナ自分自身に対する葛藤と転落。
人々は互いに勝手な印象を持ち決めつけ、いがみ合っていた。
これらは人間の残酷さ、戦争の根本を描いていると感じる。

ただ普通に生きたい。
「美しい」ということによって成し得なかった理想の人生。
欲しかったものは「真実の愛」。

ラスト、戦争からの復興と共に見える未来に涙が出るほど感動させられた。
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