囚人13号

バッタ君町に行くの囚人13号のレビュー・感想・評価

バッタ君町に行く(1941年製作の映画)
4.8
同時代のアニメーターは悉くディズニーの模倣犯となってしまうが、宮崎駿なるビッグネームが本作を擁護しているという事実は非常に有意義で素晴らしいことだ。
フライシャー・スタジオは花火映えるシンデレラ城とは比べ物にもならない老舗でアニメーターの数も機材も満足に揃っていないはずなのに技術的な稚拙さは微塵も感じない、造形美はディズニーを凌駕している瞬間さえ見受けられる。

後景の壮大さに圧倒されながら飲み込まれぬよう人間社会に抗って生きていく虫たちのドラマは自らを虫に見立てて巨大な資本ネズミに立ち向かった兄弟そのものであり、結果見事に打ち砕かれて会社を倒産させる契機となってしまった本作を、ガリバーを、初代スーパーマンを劣悪な画質から解放し、今一度フライシャーの豊かなイマジネーションに身を委ねることで、我々は歴史に埋もれた天才たちを発見せねばならない。

因みに僕の自宅の壁にはシリー・シンフォニーのポスターと向かい合うようにバッタ君町に行くの巨大なポスターが貼ってあります。
囚人13号

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