矢吹

人生万歳!の矢吹のレビュー・感想・評価

人生万歳!(2009年製作の映画)
3.8
人はふさわしい愛に出会う。
所詮この世は、何してたって、「運」
だからこそ何したっていい。
いつだって終わるし、いつだって始まるんだから
理論。たしかにとっても万歳な考え方で大いに結構。みんなで共有したいぐらいですな。
何でもいいんだよ。なんでもいいんだ。

本当の天才は全体像が見えすぎて、映画を見ている僕らに話しかけることができる。
僕らは話しかけられないけど。
映画大好きウディさんは、カイロの紫の薔薇、ボギーなどを例に挙げると、何度も映画と現実の交流を試みていて、本当に、素敵でっせ。今回もその一つでもあるし、コメディの定石でもありますから、楽しく見れます。
いつかこちらから話しかけられるようになればな。と。
主演がウディさんのウディが一番好きで、それ以外はちょっと食わず嫌いするところもあるんだけど、いつものウディのような偏屈ジジイに加えて、他人に悪態吐きまくる攻撃的なインテリマッチョのキャラクターは、ウディじゃないからすげえ良かったってのは、お勉強になりました。

エントロピーだとか、弦理論だとか、バタフライエフェクトだろうが、胡蝶の夢だろうが、三度目の正直だろうが、仏の顔も三度までだろうが、二度あることは三度あるだろうが、三という数字が立体を生み出す最も最小の数字だろうが、四という数字とスクエアという形の空間による呪力だろうが、なんでもいいのだよ。何でもいいのだ。
神にでも無にでも祈ればいいのだ。
愛でも永遠でも信じればいいのだ。
知識とは、所詮、生きるための、納得するための保険となる選択肢に過ぎないのかもしれない。

恋愛において、天才おじいちゃんが、若さと時間の不可逆性に残酷に敗北した時、それでもやっぱり俺は天才だからって言う馬鹿な一言によって、可哀想にも何にもならないし、作家の自傷行為にもならない、このバランス。
まさにコメディだ。
その上でのさ、即自殺も、即幸せも、人生だからいいのです。
面白かった。優しかった。運が良かった。
10点満点中でいうと、10だ!
フィルマークス的にいうとあれだ!
矢吹

矢吹